ツール・ド・フランス2021の第1ステージでは2回の大きい集団落車が発生しましたが、最初の落車の原因となった「祖父と祖母へのメッセージが書かれたダンボール片」をコース上に突き出してテレビカメラに映ろうとした女性が現地警察によって逮捕されました(このクラッシュについては下の記事で詳しく紹介しています)。
RTF.FRによると、現在この女性は警察の監視下に置かれ「全治三ヶ月以内の損害を与えた過失致傷罪」が適用され、1500ユーロ(約20万円)の罰金が課せられることになりそうです。
この処罰について、またこの女性の今後について、海外掲示板Redditで様々な意見が交換されているので主だったものを紹介します。
出典 Police find and arrest spectator who caused mass Tour de France crash
十分な処罰を望むが身元の公開は求めない、という声が多数
- 適切に処罰されて欲しいとは思うが、彼女の身元は公表されないのがベストだと思う。愚かな過ちを犯した者としては十分以上のプレッシャーを受けたし、これから法の裁きを受けることになる。それで良いし、話はそれで終わりだ。彼女への処罰が抑止力になって欲しいとは思うが、それ以上彼女についての話は聞きたくない
- 罰金を払わせればいい。でも身元は公開しないでほしい。彼女がやったことや、大きいストレスの中で過ごした日々について同情はしない。でもソーシャルメディアが彼女を追い詰める必要はない
- 過ちを反省して、道路上の安全についてのキャンペーン活動の顔になってくれれば良いのだが。自転車レースの日でも毎日でも。でも彼女は現場から逃げて数日間警察を避けていたから、そういう考えを持てる人とは思えない
- 1500ユーロの罰金は適正だと思う。彼女がいま経験しているストレスや不安は、私には想像もできない
- 罰金は刑法の面だけの話で、チームは損害賠償のために民事に持ち込むかもしれない。やらないかもしれないけど、やろうと思えばできるだろう
- 生命に関わるような事故を起こしたのに、そこから逃げるのは絶対にダメだし、刑事罰もきっと重くなるだろう
- 彼女はきっとパニックを起こしたんだよ、多くの人がそうなるかもしれない
- 人間にありがちなそういうリアクションに同情はするけれど、それでも彼女はクラッシュを引き起こして、事故現場から逃げたんだ。彼女がクルマを運転していて複数の歩行者をはねたとする、その場合、事故に対する責任や、誰かに重症を負わせなかったかどうかを確かめるために現場にいることより、パニックのほうが優先されて良いだろうか? そうは思わない。彼女は意図的にクラッシュを引き起こしたわけではないけれど、自分のせいで深刻な結果に苦しんでレースをリタイアした人がいるんだ
- 彼女の不幸は望まない。これから自分に何が起こるかを知って地獄のような日々を送っていたのは間違いないし、身元が公開されないことを望む。しかし彼女は自分がやったことに対して全ての法的な処罰を受けるに値する。それ以上でも、それ以下でもない
クラッシュを引き起こした女性の行為自体を擁護する投稿は当然ながら皆無ですが、十分な罰を受けてはもらいたいものの、氏名住所を公開してこの人の一生を台無しにすることもないだろう、という意見が大多数を占めています。
また、やはり罰金は当然としても、この女性を罰しても、今後こうした愚かな観客は減らないだろう、という意見も見られます。
逮捕された女性はフランス国籍の人であることが判明していますが、恐らくコロナの影響で会えないでいる祖父と祖母への応援メッセージがプラカードに書かれていたことから、同情する声も聞かれます。
一方でそれはツール・ド・フランスを走る選手達への応援とは関係のない話で、レースの場を私的な目的のために利用しているにすぎず、大会や選手へのレスペクトが皆無とも言えるので、同情するに値しない、という声もあります。
ツール主催者ASOの総合ディレクター、クリスチャン・プリュドム氏はフランスメディアに対し、次のように怒りを露わにしています。
これは受け入れられない! 観客はツールにチャンピオンたち(=選手たち)を見に来るのであって、テレビに映るために来るのではない。テレビに映る資格があるのはチャンピオンたちであって、こういう類の人間ではない。自分の姿を見たかったら、鏡というものがあるだろう! 選手達を、ツールを、チャンピオンたちをレスペクトしないといけません!
いずれにしてもこの女性、警察への罰金以外にもリタイヤしたモビスター・チームのマルク・ソレルが法的措置を検討していることもあり、最終的には1500ユーロでは済まない可能性はあります。