パナレーサー・グラベルキング(SS・700×43)にお迎えが来た、と感じたのでその最後の様子を観察してみました。使用開始からなんと3年半ほども経過しています。正確な総走行距離は記録していませんが、1万キロ以上2万キロ以下かなと思います。2週間ほど前から、表面やサイドに「牛の斑点のような模様」がまだらに目立つにようになりました(下の写真はリア)。
同じタイミングで、スローパンクとまでは言えないものの空気の減りが早くなっていることに気付いていました。ライド前にタイヤを握ってみると、特にリアはフロントに比べて有意に空気が減っているのがわかります。1日で0.5barほど減っている感じです(ラテックスチューブのような減り方)。
夏休みに予定している大きめの自転車キャンツーにこのタイヤで出発するのは、やや心配です。
最後の最後で増えた「染み出し」
この斑点はシーラント(またはその成分の一部)が染み出したものと思われ、タイヤが乾燥してもこの部分だけは乾きません。タイヤによってはセットアップ直後(シーラント投入直後)にもよく見られますが、このグラベルキングSSでは使用開始直後・使用中にこの斑点がこのレベルで出たことはなかったように記憶しています(シュワルベやWTBのタイヤでは頻繁に見られました)。
サイドウォールにも染み出しています。ちなみに斜めに入っている傷のようなものはサイドカットではなく、新品のグラベルキングでも見られるのでパンクしたわけではないようです。
この染み出し、英語では”seeping”や”sweating”, “wet patches”などと呼ばれ、一体これは何だろうと海外掲示板で散々調べましたが、発生の機序については結局はっきりしたことがわかりません。
この染みがセットアップ直後に大量に出るのならタイヤの品質またはシーラントに問題がある、Stan’sではなくOrangeやSilcaにしたら出なくなった、逆にStan’sにしたら出なくなった、いやいやタイヤとシーラントの組み合わせの問題なんだ、急激な気温や湿度の上昇と関係がある、空気圧と関係がある、等々、様々な体験談・推測を読めるのですが、「◯◯だとこのシミが出る」という明快な結論を引き出すのはどうも無理っぽい感じがします。また、このシミが出てもライドに影響しない場合もあります。
トレッドはまだまだ行けそうだけれど…
こちらはフロントタイヤ。トレッドパターンを見ると消耗が少なく、リアに移植したらまだ1000kmは余裕で乗れそうに思えます。しかし、やはり「染み出し」が目立つようになりました。つい最近までの2〜3年、このタイヤでこんな大きさの染み出しを見た気がしません。
これらの染みの斑点が目立つようになってから、前後タイヤにシーラントをたっぷり補充しました。しかしその後一週間ほど経っても、この染み出しは消えません。むしろ増えてきました。リアの空気の減りの早さも改善しません。
写真を拡大してみると、逆「く」の字型の模様がいたるところで割れはじめているように見えます。こうした割れのところにマイクロ・パーフォレション(微細な穴)が生まれて、そこからシーラントがどんどん滲んできているのではないか、というのが私の推測ですが、推測でしかありません。
というわけで、もはや寿命だろうと判断し、前後とも新しいタイヤに交換することにしました。トレッドパターンの消耗具合を見ると、寿命に至ったのは走行距離というよりも経年劣化(紫外線など)の影響が大きいのかなという印象を受けます。3年以上も使ったのですから、相当長持ちした、品質の良いタイヤだったのではないかとあらためて感じます。
このグラベルキングSSは3年強の期間、幸いノーパンクでした。知らないうちにマイクロパンクを何度も起こしてシーラントが修復していたことはあるのかもしれませんが、スローパンクも一度もなかったように思います。優秀なタイヤでした(海外ではパンクしやすいタイヤという評価も多いモデルではあったのですが)。
またこのタイヤで使っていたシーラントは、Stan’s(とStan’s製造のシュワルベ製品・IRC製品)のノーマルです。「Stan’sだとそういう染みがよく出る」という体験談を海外掲示板でよく目にしましたが、このグラベルキングの場合、調子が良かった数年間、こういう染み出しがすぐに視認できるほど出ていたことはありません。なのでシーラントの種類とはあまり関係がないのかなとも思います。
さて、次はどのタイヤが旅の友になるのだろうか…