昨日、WiggleとChain Reaction Cyclesが日本向けのシマノ製品の販売を来年1月1日以降、停止する、というニュースが話題になりました(記事)。この背景には当然、日本国内の代理店やショップを保護しようとする勢力との折衝があったに違いありません。
日本のサイクリストはどう考えているか
ところで先日CBNでは「通販で買ったフレーム。パーツも通販で買ってショップに持ち込み、作業依頼するのはマナー違反?」というテーマでTwitterアンケートを実施したばかり。その結果は下の記事にまとめてあります。
海外のサイクリストの意見は?
今回のこの記事は、それらのことと関係があります。ちょうど海外掲示板に「(Wiggleのような)大きいオンラインショップからショップに直接送ってもらっても大丈夫でしょうか?」というスレッドを見つけました。
そこでは「海外通販と地元のリアル店舗と私達カスタマー」はどのような関係であるべきかについて、海外の人々のおもしろい意見がいくつか出ていたので、ご紹介します。
Q. (Wiggleのような)大きいオンラインショップからショップに直接送ってもらっても大丈夫でしょうか?
いま自転車を組んでもらっているのですが、自分の家に間違って油圧式のかわりに機械式シフターが届いてしまいました。組み立ててもらっているショップに代替品を直接送ってもらっても大丈夫でしょうか?
ちなみに僕はオーストラリアに住んでいて、シマノが販売価格と流通をかなり強力にコントロールしています。そのためオンライン価格は地元ショップの価格の半額以下だったりします。この自転車店はトラブルに巻き込まれたりしないでしょうか?
というスレ主に対して、こんな回答が寄せられています。
ショップには聞いてみましたか? 彼らと君の人間関係は、節約できるお金と同じくらい大切なものですよ、特にいま組み立てをやっているのが彼らなら。
その自転車店はトラブルには巻き込まれないよ、ただちょっと面倒臭がられるかもしれないね。僕だったらWiggleのパーツから組むのはあまり気が乗らないのは間違いないよ。
作業が終わったら、チップをはずむか、ビールの6缶パックを持っていくといいよ。お金をあちこちで節約する必要があるのはみんなわかってるんだから。
でもWiggleやChain Reactionのようなサイトは自転車店が倒産する理由になっているね。
このチップやビール、という提案に対し、こんな回答が付きました。
慈善(チャリティー)は利潤を追求する会社にとって良いビジネスモデルではないよ。
それに対する反論。
物を同じくらい安く売ろうとするのは、リアル店舗を経営していく上では非常に悪い方法だ。僕はチャリティーを提案したわけではなくて、メーカー希望小売価格よりも多く払ってはどうかと思ったんだ。
みんなショップは作業から利益を得るべきだって言うけれど、時間あたり定額の作業を決まった時間内にミスなくこなしていかないと、それは成り立たない。
自転車店というのは単純に言って、良いビジネスモデルではないんだよ。
それに対する意見。
もし物販でやっていけないのなら、売らなければいい。それか、少なくともその利益に依存しないようにすればいい。
サービスに注力するんだ。オンラインで購入した自転車やパーツでも喜んでひきうける地元店(LBS, local bike shop)としてマーケティングすればいい。
大きいブランドの正規販売店だったりすると、これは難しいかもしれないが、そもそもそういう正規販売店であることにメリットがあるかどうかを判断する必要もあるだろう。もしショップの経営がうまくいっていないなら、そういうことだよ…
「自転車店というのは単純に言って、良いビジネスモデルではないんだよ」という話だけど、それはつまりショップの数が多すぎるってことなんだ。いくつかの店は閉めないといけないだろう。
もし上手に変化に適応できるのなら、店じまいに追い込まれるということはないだろう。WiggleやCRCと競争していこうと思うなら、本当にうまくやらないと生き残るのは難しいだろう。
他にこんなおもしろい流れも。
他の人が言ってるように、まずショップに相談することだね。もし僕がショップのオーナーだったら、自分のとこでパーツを買わない限りそもそも組み立ては引き受けないだろうな。
上の人へのレス。
あなたのショップはすぐに倒産するような気がする。それに、倒産をオンラインショップのせいにするだろうね、間違いなく。
それ(=他社購入パーツの組付けを拒否すること)は持続可能なビジネスモデルとは思えないな。ショップオーナーとして、あなたは明確な線引きをする必要はあっても、客を遠ざけるようなことをしてはいけないよ。
ショップは作業から最も高いマージンを得るべきだ、パーツの販売からではない。だからあるお客さんがお金を節約しようとしていて、他のところでパーツを買いたいなら、僕だったらそこでは損をしておく。
彼らが作業も他のところに依頼してしまい、売上のすべてを失うことよりもそっちのほうがいい。
その上で言うと、もし僕がショップオーナーだったら、そのお客さんが自分でパーツを持ち込んだことや、いかなるパーツの保証問題も購入店を通じて客が自分の責任で行うことをきっちり文書化しておく。
この「それは持続可能なビジネスモデルとは思えないな」に対して、こんな意見が。
そうかもしれない。でもそこに何軒の自転車店があるかにもよると思う。
私はオランダの小さい町に住んでいるんだけど、自転車店は二軒あって、近くのもっと大きい町にはもっとある。彼らの中には、デカトロン(Decathlon)のような大規模小売業者が売っている「ネット限定モデル」の自転車の修理は受け付けていないところもある。
ここは自転車文化が盛んだから、そういうことをしても他にお客さんはいっぱいいるんだ。
それに対し、
それは面白い話だね、考えてもみなかった。アメリカではそれほどショップの需要がないから、客を選り好みはできないな。だから大型ディスカウントショップやオンラインショップからの自転車の作業を引き受けることはよくあるよ。
等々、ざっと読む限り、日本と同じくらい多様な意見が出ているように感じました。
いちばん印象に残ったのは、もしショップが成り立たなくなってきているとしたら、それはショップが増えすぎているということだ、そしてうまく状況に適応しようとするショップは生き残るが、それ以外は潰れてしまうだろう、というところ。
変化する環境に適応していかないとやっていけないのは、自転車に限らず、どの業界でも同じではないかと思うのですが、どうでしょうか。