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【青春18きっぷ 2021年・春】横浜から約3,000円の切符で、しまなみ海道に向かった結果。

しまなみ症候群――不安定な精神状態によって引き起こされるとネットで噂の不思議現象。nadokazu、横浜からもほど近いとある狭小集合住宅に住まう彼は、この年、様々な“しまなみ症候群”を引き起こした自転車乗り達と出会う。

というわけで、今日の駄文はこちら!

【青春18きっぷ2021春】横浜から約3,000円の切符で、しまなみ海道に向かった結果。

しまなみ海道に行かねばならぬ。できる限り安く。

しまなみ海道

「緑の島々と青い海、巨大な架け橋の下に浮かぶ船」
「潮風を胸いっぱいに吸い込んでスタート」
「初心者もベテランも、サイクリングの魅力を目いっぱい楽しめる」

しまなみ海道サイクリング より引用

しまなみ海道、そこは、まさに自転車乗りの聖地です。(え?「おりたたぶ」と「おりたたみ自転車はじめました」と「ろんぐらいだぁす!」と「しまなみくるくる」の聖地だろって?それは…なんのことでしょう?)

自転車乗りが、しまなみ海道に行きたくなる。それは、もはや自然現象。寝ても覚めても、しまなみ海道に行くことしか考えられなくなる「しまなみ症候群」は、実在するのです(n=1)。

「しまなみ症候群」が発症してしまったら、しまなみ海道に行くしか治療方法がありません。

というわけで、「行かなければならない」ということになりましたが、未来の自分に借金するにも限界があります。

そこで!

「青春18きっぷ」を使えば、交通費を抑えまくってしまなみ症候群が治療できるんじゃね?という考えに至りました。

それでは、人体実験の時間です!

「青春18きっぷ」って、どんな切符?

JR全線の普通列車(快速含む)の普通車自由席及びBRT、並びにJR西日本宮島フェリーがご利用になれます。
・1券片で5回(人)までご利用になれます。1回(人)あたりの有効期間は1日です。

おトクなきっぷ:JR東日本 より引用

1日乗り放題だけど、普通列車にしか乗れない。なので長距離移動するには、べらぼうな時間がかかります。まさに、「時間でお金を買う切符」です。

大人が5回使えて、1万2,050円。1回あたり2,410円で、1日乗り放題になる計算になります。春・夏・冬の3シーズンに発売されて、2021年の春は2月20日から2021年3月31日に発売されました(利用期間は、3月1日~2021年4月10日)。

乗り鉄じゃない、ぼっち自転車乗りに5回は多くない?

青春18きっぷは、1枚で5回分。一緒に各駅停車で遠出するような友だちがいない、ぼっちの自転車乗りが有効期間内に使い切るのは、結構なハードルです。4回分が無駄になって、期限が終了。結局割高になりましたー!という、悲しい未来が見えまくります(号泣)。

だがしかし!

自分みたいな寂しい大人は、世の中には大勢いるのです。

そのためか、使用期限が迫ってくると、利用回数が残っている青春18きっぷがネットオークションに多く出品されます。

青春18きっぷ

1回残しは即決価格だと、3,000円〜4,500円程度の出品が多い印象。自分は即決価格3,200円、送料無料の1回残しを落札しました。Tポイントも使えたので、実際に支払ったのは2,700円。

ちなみにヤフオクだと、規約で金券にはクレジットカード決済が使えません。コンビニ払いを選ばざるを得ないのですが、100円の手数料を取られます。送料無料の出品でも「落札価格+100円」が、実質的な購入代金だと考えたほうがいいでしょう。

本当に、これでしまなみ海道まで行けるの?

しまなみ海道の出発点のひとつである「尾道」までは、横浜から約700km。そのすべての行程を、普通列車で移動する。しかも「自転車を運ぶ」という、とんでもないディスアドバンテージを抱えた状態で。

うーむ、普通に相当キツそうです。でもでも、考えてみると、乗り換えるとき以外は基本「座ってるだけ」。スマホで動画観まくったり、Kindle本を読みまくったりしていれば、割とアッと言う間だったりするかも?

横浜から尾道まで

Mapionの検索結果ページより引用

東京から18きっぷで九州まで行ってるYouTuberさんの動画とかあるし、試してみる価値はある…はず!

冒険したっていいんじゃないかな
迷ってばかりじゃ変われない
信じようよ自分のチカラを!

行ってみて、どうだった?

全線で座れました。一泊分の宿泊費と食費を鑑みても、新幹線代を考えれば余裕でお釣りが来ます。時間でお金が買えるのは、間違いありません。

ただ、楽しさとはほど遠い、艱難辛苦の時間を過ごすことになります。半端なくキツいです。普通列車のシートに座り続けるって、こんなにツラいことだったのか…。と、思い知らされました。

それでは長旅の果てに、心が壊れていく模様をご覧ください。

起床して川崎駅へ

目覚ましに設定したアラームより早く、3時に起床。荷物の用意はできているので、身支度だけ整えて出発します。川崎駅には、4時少し前の到着。

起床して川崎駅へ

ホイールまで外して折り畳み,Tyrellを最もコンパクトな輪行状態にパッキングしていきます。

普段と違うパターンの輪行準備にダラダラと時間が過ぎて、気づけば30分近くが経過。始発時刻が迫ってきて、慌ててホームに向かいます。

川崎〜熱海

4時45分、東海道線熱海行きに乗車。熱海まではグリーン車を使って、なるべく体力を温存します。

川崎〜熱海

車内は無人。そして、朝食類を何も買っていないことに気づきました。なんということでしょう…!このまま熱海まで、飲まず食わずが決定。

小田原の先のトンネルで、上りのサンライズとすれ違いました。いやー、サンライズの旅は快適だったなぁ…眠れなかったけど。サンライズ、また乗りたい…!

熱海〜浜松

熱海駅での乗り換えは、ホーム移動があるので自転車を抱えて大移動を強いられます。つらい。

約30分の待ち時間があるので、朝食ぐらい楽勝で調達できるはず。と、余裕ぶっこいていたら、駅構内のNewDaysは6時50分からで間に合わない。改札を出て駅前ロータリーの向かいにあるマクドナルドが6時30分からで、開店を待ってたら余裕がない。ファミリーマートは営業中でしたが、棚は空き気味。購買意欲をそそるものが、まったく無い…!

ウダウダ迷っているうちに、結局タイムアウト。

熱海〜浜松

浜松行きは始発電車なので、座席の確保は余裕。お手洗いのある車両の、シート末端に着席しました。自転車はドアとシートの間にある、満員電車的黄金スペースに配置。

お手洗いの向かいの車椅子スペースには、広大な空間があるのでそっちに置くことも考えました。ですが、車椅子やベビーカーの方がいらしたとき、即座に移動させられないので使わないという判断をしています。

三島〜沼津間では、通路もほぼ人で埋まるぐらいに車内は混雑。これ以上混むようなら自転車を立たせて床面積を少しでも減らさないと…という覚悟をしましたが、それ以上には混雑せず、沼津でドッと人が降りたのでひと安心。

沼津を過ぎると、車窓右側には富士山がその堂々とした姿を見せます。手前に須山があるので、しばらくは上のほうだけですが、列車が進行するにつれて、どんどん全体が見えるようになってきます。吉原駅まで来れば、ほぼクリア。

そこそこの乗降はありますが、ドア脇の折り畳み自転車が邪魔になるほどの混み方はしていない印象。静岡を過ぎると立ち客ゼロで、座席の空きもパラパラあるぐらいになりました。

ちなみに車内は感染防止対策で、ガッツリ外気導入が効いていて寒いぐらい。厚手の上着を着てきているので耐えていますが、薄手のウインドブレーカーだと厳しいかも。

浜松〜豊橋

同じホームの向かい側に停車している、短い編成の列車に乗り換えます。6両編成から3両編成と車両の数は半減しましたが、車内はガラガラ。

浜松〜豊橋

ドア脇のシートを難なく確保して、ほっと一息つきました。その前の列車の乗車時間が長かったせいか、割とアッという間に豊橋に到着。

豊橋〜大垣

乗り換え時間は5分しかないのに、ホーム移動があってドタバタ。エレベーターを使ってサクッと上り下りできたのは、僥倖でした。混んではいなかったので、こちらも難なくドア脇のシートを確保。

豊橋〜大垣

乗り換えた車両のシートは、リクライニングこそしないモノの、前向きのシートで無茶苦茶快適。二人掛けのシートを一人で使えて、実にありがたい限りでした。

豊橋〜大垣

大垣〜米原

大垣駅到着が列車遅延で5分近く遅くなり、10分あるはずの乗り換え時間が大幅短縮。しかもホーム移動がある、ということで、ここでもバタバタ移動でした。

大垣〜米原

座席はバッチリ確保できたけど、結局なにも買えんかった…。

米原〜姫路

発生した遅れは回復されず、ギリギリの乗り換え時間に。向かい側のホームに停車していた新快速にバタバタ乗車。なんとか間に合いましたが、やっぱり何も買えず。腹減った。

座っていて全然不快ではないんだけれど、シートの背は立ち気味で座面の前後長も座り続けるには足りてない感じ。そのせいで、すごく眠いのにぜんぜん眠れない体制を強いられます。これ、何ていう拷問ですか?つらい。

姫路〜相生

姫路駅の待ち合わせ時間は10分。ホーム移動なし。ホームに駅そばがあるので、一気にかっこめばいけそう。でも、いま食べちゃうと、時間が遅すぎて夕食がヘンな時間になるのが確定してしまう。

姫路〜相生

階段を降りたところにあった駅ナカセブンイレブンで、思案の末にツナマヨおにぎりを買ってパクつきました。やっぱコンビニおにぎりは、ツナマヨが至高の味わい…あれ?ふだんに比べて、イマイチおいしく感じないよ?

相生〜尾道

向かい側のホームに停車している、糸崎行きに乗り換え。無事に席を確保。

眠るに眠れない体勢なのは相変わらずで、どう体を動かしても眠りやすいポジションがとれません。それなのに3時起き&ここまでの疲労感で、ついに意識を失いました。空調が冷え気味のせいもあるのか、目が覚めると思いっきり調子が崩れています。つらい。

もう早く横になりたい…早く到着してくれ…と、割と絶望的な気分。旅行のワクワクが、完全に乗車疲れに負けてしまっていて、1秒1秒がツラい。もうイヤだ…福山から新幹線で家帰っちゃおうかな、という考えが頭の中で浮かんでは消えていきます。ひと駅ひと駅が、実に長いこと長いこと。つらい。

尾道

ようやく到着。長かった…本当に長かった。口からエクトプラズムを吐きながら、ずるずると下車。

駅を出てすぐ先にある自転車組み立てスペースで、輪行解除。自転車の組み立てと荷物の整理で、やっぱりべらぼうな時間が経過しました。

尾道

さっそく渡し船に乗って、対岸の向島へ。船着場から少し先のガソリンスタンドで「ろんぐらいだぁすとーりーず!」の、現地でしか買えないしまなみコラボジャージを購入(なお、その日に一般販売が開始された模様)。

ササっと引き返して再びフェリーに乗船。しばらく走って、ホテルにチェックイン。これで、なんとかクエスト達成です。が、あれ…心が躍らない…。

どれぐらいダメージを受けたの?

部屋に入ると、そのまま倒れ込むようにベッドの上で横になってグダグダするしかできませんでした。着の身着のまま寝落ちしそうになって、起き上がるには鋼鉄の意思が必要でした。

夕食はホテル近くの焼肉屋さんに入って、豪勢に焼肉…丼と尾道ラーメン(尾道ラーメンを出す焼き肉店だったのです)。

尾道ラーメンを出す焼き肉店

美味しく食していたのですが、ダメージの重さに気付いたのは、ラーメンを食べ終えて焼肉丼にスイッチしたとき。

ラーメン

お腹が空いているのに、胃が白米を拒むのです。ラーメンスープで胃を刺激して、何とかかっこんで完食できましたが、こんなのは初めての経験。

焼肉丼

尾道ラーメンも焼肉丼も美味でしたし、量だって普通でした(※デブ基準)。それなのに、食べるのに苦労してしまう。眠たい、というだけでなく、体内にも結構なダメージがあったと考えるのが妥当かと思います。

長く電車に乗るのは、サンライズでも同じじゃないの?

ところで寝台特急「サンライズ瀬戸」で、しまなみ海道に向かう(この場合は、今治出発になるケースが多いと思います)。これも、在来線で9時間超という長旅です。サンライズには「横になれる」という絶大なアドバンテージがあります。身体のラクチンさが、0と1ほどに違う。

サンライズ

これはもう、同じ土俵ではぜんぜん無い。つまり、比較になりません。

途中で新幹線に乗り換えるテはなかったの?

ないこともないですが、最後の乗り換え駅の相生で新幹線に乗って新尾道までいくと、こだま利用で5,700円。全線で新幹線を使った時との価格差が、グッと縮まってしまいます。それを考えると、初志貫徹するしかありませんでした。

まとめ:つらい

1回残しの青春18きっぷをネットオークションで買うと、片道3,300円程度の運賃で、横浜からしまなみに行けます(熱海までグリーン席を使うとプラス1,000円)。宿泊が1日追加になりますが、ホテル代を足し上げても新幹線使用(約1万8,000円)より圧倒的に安価です。

川崎駅出発のケースだと

発着時間:04:45発 → 17:56着
所要時間:13時間11分
乗車時間:11時間53分
乗換回数:7回
距離:793.1km

ジョルダンの「青春18きっぷ乗り換え案内」による検索結果より引用

という感じですが、本当に堪えました。ポイントを箇条書きにしていくと

  • 乗り換えは割とバタつき気味で、余裕全然なし。つらい。
  • 朝は途中駅の売店が空いてないので、出発時に食料飲料を入手し損ねると、飲まず食わずが続く。つらい。
  • 席には余裕で座れたけれど、土日はどうなるか不明。座れる保証は、一切ない。つらい。
  • ホーム移動を要求される乗り換えが、結構多い。つらい。
  • 熱海から豊橋までは、延々横向きシート。つらい。
  • 豊橋から先は、前向きのシートになって快適性が向上。ただし、背もたれは立ち気味だし、眠る体勢にもなりにくい。つらい。
  • 全線通して、換気のためか車内の温度が結構低め。保温インナーと厚手のジャケットを着ていたのに、それでも暖かいとは感じない。つらい。
  • 眠いのに眠りにくい。体調はガタガタになる。疲れで胃腸にもダメージを受ける(n=1)。つらい。
  • 新幹線なら1時間半遅く出発しても、10時前には新尾道に着けちゃいます。青春18きっぷだと、豊橋駅で「まだ半分も行ってない…」と絶望している頃なのに…。つらい。

新幹線

以上!

というわけで、時間(ほぼ丸一日の忍耐)と体力(三時起きして15時間乗車しっぱなしの猛烈ダメージ)、さらに着席できないリスク。これらを含めての、価格差になります。

安い運賃には、相応の代償がある。キツい思いをする、相当な覚悟が必要です(経験者談)。本稿が「交通費を抑えて、しまなみ海道ライドを楽しみたい!」という方の、検討の一助となれば幸いです。

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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