勉強は苦手でスポーツも無能のnadokazuです。
私が自転車で200km?ぶっちゃけ、ありえな〜い!
というわけで、本日の駄文はこちら!
迫るブルベの本番。状況は「絶望的」。
自転車マンガの帝、「ろんぐらいだぁすとーりーず!」のイベントに参加するノリで、エントリーしてしまった「AJたまがわ BRM326大洗」。しかし冷静になって自分を見つめ直すと、200kmを走るために必要な経験値も走力もありません。ちょっとヤバくないですか、コレ?と思ってるうち手続きは完了してしまい、すべてはもう後の祭りです。
圧倒的絶望…!まだスタート前だというのに…!
「制限時間内完走」の、あまりにも高いハードル。
「ブルベ」が普段のサイクリングと違うのは、「適当に走ってゴールすればいい」というものではないところ。キューシートに記載されたコース通りに走って、すべてのPC(仏:Point de Controle=チェックポイントの意)を時間内に通過して、通過証明(レシートであることが多い)を持って、ゴールに辿り着かなければいけません。
200kmブルベの場合だと、制限時間は13時間30分(ブルベの種類 | Audax Japanでは「14時間」と記載されていますが、これはいったい…?)。必要な平均速度は15km/h程度になる計算ですが、それはノンストップで走り続けた場合。実際には休憩や信号や渋滞があるので、もっと速く走らないとダメです。
DAHON K3でりんりんロードを200km走ったとき、「坂なし、信号なし」という条件ですら平均速度は18km/hでした。
▼ 参考記事
いくらロードバイクを使ったとしても、坂と信号と渋滞が加わる状況で平均速度上乗せ…普通に無理ゲーなのでは??
底辺の走力で、時間内完走を目指す!たったひとつの冴えたやり方。
いろいろ考えてみると、「ブルベ」って
- コースプロファイルを読み解きつつ
- 自分の走力や天候・風向などを照らし合わせて
- 必要な装備を取捨選択する
そのうえで時間内完走の走行プランを練ることが、準備としてまず必要ですよね。経験値を含めた走行知識をベースに、自分自身のフィジカルまでパラメータのひとつにして目標達成を目指す。なんだか、想像よりもずっと高い戦略性が求められるように思えます。
それに先達の方々が公開されているブログや同人書籍などを読み漁ってみても、「スタートする前の準備段階で、完走のイメージをつくっておく」ことが不可欠である印象。何も考えずに出走して難なくクリア、というワケにはいきそうにありません。
なんですが!
自分のことを振り返ってみると、サイクリングどころか人生ですら「完全に行き当たりばったり」。無計画で、適当で、しかも努力は一切しない最低野郎。200kmブルベに立ち向かうのに、選択しうる戦略なんてあるのでしょうか?
…ひとつだけ、ありました!
それは「機材の力に頼り切る」こと(いつもと同じパターンじゃねーか!というツッコミ不可)。完走というハードルを超える可能性を、わずかでも高めるために「いろいろポチッておく」。それこそが、たったひとつの冴えたやり方です。
必要だから仕方ない!ブルベ用にポチったアイテム。
そんなわけで、いろいろポチりました。念のために申し上げますが、これは「準備が必要だから用意するしかない」という必然によるもので、決して「ブルベの参加を言い訳に衝動買いしまくった」ということではないですからね?
TOPEAK レッドライト エアロ
ブルベの走行時は「常時点灯ができる赤色の尾灯」の装着がルール。USB充電式のリアライトは持っていますが、それだと電池が切れたらアウトなので乾電池式を新規購入。左右のシートステーに取り付けました。
INTRO スティンガー6
長距離走行に備えて「ブルベ専用」と銘打たれた、分厚いパッドが配されたロングフィンガーグローブを手配しました。真冬ではないので、スマホの操作がしやすさを優先して9分丈をチョイス。
KAPELMUUR エアリーメッシュ
雨予報が出ていて、雨天走行が避けられそうにない状況。そのときに怖いのが「気温低下」と「汗冷え」の、極寒ダブルパンチです。寒さは生命維持の危機に直結する、あまりにも危険な要素。というわけで、汗冷えを防ぐアイテムは必須なのです。
ちなみになぜカペルミュールかというと、福袋で好印象を持っていたから。わたくし、実にチョロい客でございます。
▼ 参考記事
APIDURA レーシング・フレームパック 2.4L
レインウェアだけでなく、防寒装備を持っておきたい。とはいえ巨大サドルバッグに荷物を満載すると、コーナーで後ろが振られる感覚が気になる…。というわけで、フレームバッグを選択。代理店の「オルタナティブバイシクルズ」さんの商品紹介ページで「完全防水」と書かれている本品にしました。雨で冷えた→防寒装備を取り出して…→濡れてるー!!とか、シャレになりませんからね。
防寒テムレス
mont-bellのレイングローブは持っていますが、念のために防水性の高さで名高いグローブ「テムレス」の防寒タイプをポチッとな。
R250 おにぎりリフレクター ミニ イエロー/オレンジ
被視認性は、高いにこしたことはありません。というわけで愛用しているサドルバッグ(オーストリッチのSP-705)のベルトに装着できる本品を購入。
SONY RX0 MK2 + レックマウントH34-CN
今回参加するブルベには、2カ所の「フォトコントロール」があります。これは指定された場所で写真を撮る、というもの。そうなると、「撮影機材が絶対に必要」です。
「スマートフォンでいい」という考え方は、もちろんあります。ですが「バッテリーが切れる」「落としてクルマに踏まれる」「勝手にOSアップデートがかかって起動しなくなる」など、トラブル発生の可能性もゼロではありません。つまり「予備の撮影機材がなければ詰む」ということ。
手持ちのデジカメはありますが、バッグにもう収納余力はありません。撮影の手軽さを考えても「ハンドル回りに装着できるコンパクトさ」は必須事項です。
あとは「防水性能」が、絶対に欠かせません。まとめると
- 小さくて
- 高画質で
- 雨に降られても耐えられる
という「3つの条件を満たすカメラが、どうしても必要」になります。
そうなると選択肢は、この「RX-0」ほぼ一択。なにしろ1インチサイズのセンサーを搭載して、画質を担保。しかも
「水深10mの防水・防塵性能」
「高さ2.0mからの落下衝撃耐性」
「最大200kgfの耐荷重性能」
がある。濡れようが、落とそうが、踏みつけようが無問題ラ!な性能を持っています。
そんなカメラが、指でつまめるサイズで約130g!そこにレックマウントの「H34-CN」を組み合わせれば、CATEYEのフレックスタイトでワンタッチ着脱が可能!
これでレディ・パーフェクトリー!!
あと、雨天走行がほぼ確定なので、サイトに「泥、雨などのコンディションにピッタリ」と書かれているBULBのWETチェーンルブを注油しておきました。
初めてのブルベを走ってみた。
そうこうしているうちに、いよいよ当日の朝が来てしまいました。前泊の宿を出てスタート地点に到着すると、空模様はドン雲りで路面はウェット。
駐車場で発見したフォルトゥーナ号も、ビショ濡れです。
まぁ、それでも雨スタートに比べれば「いい天気」ですよね。すでに折れそうなメンタルを、なんとか欺瞞してスタートします。
そして走行開始直後、思い知らされました。
「ぶ、文明の利器ってすげー!!!」
ロードバイクは、まごうことなき「チート装備」にほかなりません。
ペダルに脚を置くだけで、ラクラク20km/h巡航できる。
脚と道の具合にに合わせて、ピッタリのギアが選べる。
とにかく走ることに、一切のストレスがない。
これって、神の機材なのでは…?
空模様は相変わらずですが、ウェットだった路面もすっかりドライです。DAHON K3であれだけ苦労する10km、20kmという距離を、ロードバイクはいとも簡単にクリア。走行距離がグングン伸びて、77km地点のPC2にはスタートから4時間を切るペースで到着。
順調すぎるほど順調に進めていますが、もちろんこのままではすみません。100kmを越えてから、いよいよアップダウンが頻出するようになります。お願いです…こういうのは脚がある前半に配置してください…と涙目になるところですが、あれあれ? いくら走っても大垂水峠やヤビツ峠を思い起こすような、長くてキッツイ登坂は出てきません。
走りやすくて、無茶な坂がなくて、交通量も少なめ。このエリアにどれだけの解像度があれば、こんなルートを作れるんだろう。雛子パイセン、マジ天使!
13時30分には、コース中の最高標高地点である境明神峠に到着。
たしか執筆時点で公開されていた「ろんぐらいだぁすとーりーず!」第18話では、県境を越えたら「この先は下り基調よ」って書いてあったはず。
参考 コミックブシロードWEB「ろんぐらいだぁすとーりーず!」作品ページ
空はずっと厚い雲に覆われたままですが、その方が日焼けダメージを受けないので結果オーライ。ここまで来れたのなら、雨から逃げ切ってゴールできるかも?という期待も高まります。
ですが2回目のフォトチェックの常陸大子駅を超えると、ポツリポツリと顔に水滴が当たるようになりました。ほどなくして雨が本格的に降り始め、路面も完全ウェットに。もう、逃げ切れません。
サドルバッグに詰めていた、mont-bellの雨具セットを取り出して装着。降りしきる雨の中へと、再スタートします。
そして再スタート直後、再び思い知らされました。
「ぶ、文明の利器ってすげー!!!」
そりゃ雨天走行ですから顔に水滴は当たるし、ウェット路面でリスクは増大します。
それでも!
mont-bellのレインウェアの中は、スーパー・ドゥッラァァーイ! 冷えないし、蒸れもしないので、不快感まったくなし。これも「チート装備」と呼ぶにふさわしいアイテムと言えるでしょう。
ここまで快適なら、雨が降ってもへーきへーき!見えたぞ…制限時間内ゴール!!
コース後半で、やっぱり地獄を見る。
そんなふうに思っていたところに、吹き付ける猛烈な向かい風。ちょっと待ってー!!雨がドバドバ降って向かい風がビュービューで、時折吹く横風にハンドルとられて…って、もう最悪じゃないですか!
「後半は下り基調」
ブリーフィングでも、こう説明されていました。向かい風はツラいけれど、位置エネルギーの力があるから最小負荷ペダリングで進めるはずです。それなのに、どうして自分はインナーローでヒーコラ登坂してるんでしょうか?
しかも、何度も!何度も!!何度も!!!
よくも騙したあああああ!!
騙してくれたなあああ!!
ガタ落ちする走行速度。繰り返し出現する登坂。やまない雨と、吹き付ける向かい風。ついさっきまでスイスイ走れていた距離が、永遠の彼方に感じます。
ようやくPC4に到着しましたが、もうTwitterする元気も残っていません。
前半はいいペースで進むのに、後半になると向かい風や疲労でメロメロになる。これDAHON K3で霞ヶ浦1週したときと、思いっきり同じパターンです。学習能力が皆無であることを思い知らされて、果てしなく絶望。折れる寸前のメンタルを奮い立たせて、ゴールに向けた最後の区間を走り出します。
ほどなくして日もとっぷり暮れてしまい、ゴール手前の海門橋をようやく渡る頃には、もう完全に夜になってしまっていました。
ゴール手前の最後の登りを吐血しつつクリアして、どうにかこうにか制限時間内ゴール。コンビニ休憩だけしかしないで走ったのに、グルメや観光を楽しんだ方々よりもガッツリ遅い、ドン亀タイムでございます。
ゴール後に狂喜乱舞!うれしすぎるサプライズ!
ゴール受付をしていただいて、完走記念のメダルを購入。これでミッションクリア…と思ったら「ろんぐらいだぁすとーりーず!」作者の三宅大志先生から、直筆のミニサイン色紙プレゼント!という、サプライズが用意されていました。
いや…ちょっと、これは…やべーです。ヤバすぎます。
今、
僕は冷静さを
欠こうとしています。
奇声をあげて踊り出したい衝動をギリギリのところで抑えて、宿への帰路につきました。色紙は家宝決定。
しかも!
今回のブルベの参加者は、このあと「ろんぐらいだぁすとーりーず!」の作中で、今日のブルベを追体験できてしまいます。これは自転車体験として、「最高!」としか言いようがありません。
普段の「自転車イベント」とは、まったく別の体験。
ブルベに初参加してみて印象に残ったのは、普段の「自転車イベント」とは何から何まで異なっていたところ。
特に参加者が「お客様ではない」という点は、改めて肝に銘じておきたいですね。なにしろ、スタート現場での案内は最小限。ブリーフィングも「時間になったらいつの間にか始まっている」し、全員が参加しているかどうかのチェックもナシです。けれど、そこで重要事項の伝達もあるので、聞き逃したら即アウト。
ほかにも、
「もらったレシートを無くす」とか、
「レシートをもらい損ねる」とか、
「反射ベストを忘れる」などなど。
やってしまいがちな凡ミスのひとつが、すぐさま終了に直結する恐怖。各種の救済措置も、「一切無い」と思ってかかったほうがいいでしょう。
そして!
「雨」「坂」「向かい風」という地獄のフルコースを味わいながら、長距離の走行を強いられる。これってサイクリング体験としては、もう「最低で最悪」以外のナニモノでもありません。
ですが、こうした「さまざまなタスクと障害をクリアして、目標を達成する」というのは、間違いなく大きな成功体験と言えるもの。アフターバーナー全開で垂直上昇していくF-15戦闘機レベルで、自己肯定感が爆上がり。これは手取り足取りゴールまで誘導してもらう「お客様として参加する自転車イベント」では、絶対に味わうことができないヨロコビです。
もしや…「撒き餌」なのでは!?
カメラの世界には、「撒き餌レンズ」という言葉があります。
主に50mm F1.8などの単焦点レンズなのですが、その特徴は「比較的手が出しやすい価格帯なのに、キットのズームレンズとは別格の高性能」であること。
明るい単焦点レンズでしか体験できない、まったく違う世界。特に初心者がその性能を体験したが最後、さらなる高性能レンズが欲しくなりズブズブと深い深い沼にハマっていくのです(経験者談)。
練りまくられた初心者向けコースをなんとか制限時間内完走することに成功して、最高レベルの自転車体験をさせていただきました。そして垣間見てしまった、ブルベの魅力。その先に待っているのは、本気のやべー世界。これは、そんな「沼」への入口です。純真無垢なサイクリストの方だと、このブルベをきっかけに「向こう側」へ行ってしまう可能性は極大でしょう。
さてさて、次に開催される、初心者でも走れそうな難易度の200kmブルベはどれかなー?
すべてを解決するのは、筋肉ではなく機材!
そして、思い知らされたことがひとつ。
吹きすさぶ雨と風。
尽き果てた脚力と精神力。
ゴールは遥か彼方。
進んでも戻っても登坂。
走行中に訪れる、こんな「どうにもならない状況」の中で、自分の力になってくれる唯一無二の存在。それは…機材!すべてを解決するのは、筋肉ではなく機材の力!!ポチりこそ正義です!!!
たとえば、今回mont-bellの雨具セットで快適に雨天走行できてしまいましたが、コンビニで売ってるビニールのレインウェアで走ったら汗で蒸れ蒸れになったところに気温低下が加わって、それこそ体調不良を引き起こしたりしてたかもしれません。
さあ、あなたも!「機能性が高くて」「性能のいい」自転車用品を、迷わずポチりましょう!
まとめ
素人が200kmブルベに初エントリーした結果、雨と向かい風と坂にボッコボコにされましたが、時間内に完走できました。
それはひとえにコース設定が「初心者でも楽しく200km走れて完走できる難易度」になっていたから。普通の脚力がある自転車乗りの方の基準に照らし合わせると、「完走したって大したことない」と言えちゃうレベルなのかもしれません。
けれど、だからこそ、初参加のエントリー先として、これだけの好条件が揃ったブルベはほかになかったと思うのです。普通の難易度でこの風雨だったら、十中八九DNF。完走できていたとしても、制限時間の大幅超過が関の山です。今回の「BRM326大洗」では貴重な体験ができる、実に稀有な機会を与えていただいた。改めて、そう実感します。
運営に関わられた皆様方には、心から謝意と敬意を表したいです。