Brompton Roll Top Bag 28Lの実使用レビューです。英国での製品名は「Brompton Borough Roll Top Bag Large in Dark Grey」といい、ブロンプトンから出ている純正バッグとしては本記事時点でいちばんデカいモデルです。何がどれだけ入るのか。細部の使用感はどうか。どんなライドに向いているのか。一緒に見ていきましょう。
公式 Brompton Borough Roll Top Bag Large in Dark Grey
収納力を見てみよう
ブロンプトンでいちばんデカいバッグ(公称28L)なので、やはり収納力から見ていきましょう。下の写真は、筆者がこのバッグで自転車ツーリングに出かけた時に撮ったものです。相当デカいことだけは、すぐに伝わるのではないでしょうか。
ちなみに筆者のブロンプトンはSハンドル。このバッグに限界まで荷物を積み込んでも、慣れは必要ですが運転は問題なく可能です。
下は、この日バッグに入れていたものの写真です。
詳細はこちら。
- テント(2人用ダブルウォール)
- グラウンドシート
- エアーマット
- 寝袋
- ヘリノックス(折りたたみ椅子。レビュー記事)
- ファイヤブランケット
- 折りたたみテーブル(iClimb。レビュー記事)
- クッカー・カトラリー・ナイフ・燃料等を入れたバッグ
- 食料のバッグ
- スキットル(ウイスキー用)
- モバイルバッテリー・ヘッドライト・ファーストエイドキット等を入れたポーチ
- アタックザック(近場の登山用)
食料と水さえ道中に購入できれば、あとは着替え次第で数泊のキャンプができる荷物です。
これらに加えてパンク修理キットと予備チューブ、財布にスマホ、という構成。カメラと交換レンズだけは入らなかったので、それらは別途オルトリーブのアクセサリーパックで運搬しました(輪行時はウェストポーチとして使い、ライド時はこのバッグの上に載せたら大活躍)。
そもそも何故この大容量28Lバッグを入手したかというと、既に持っているブロンプトンのSバッグ(20L・ディスコン品)やバックパック(14L)に、上で書いたものを全て入れることができなかったからです(ヘリノックスや調理器具を外せば、Sバッグならなんとか入りそうでしたが、それらは譲れないグッズでした)。
ロールトップのフタは、荷物が多すぎる時は雑にひと巻きする程度でも最悪ギリで運用できる感じの柔軟な設計です。上で紹介した荷物を全て入れると、かなりギリギリ。しかし私が使っているテントやシュラフは安物であり、やや大きめではあるので、よりコンパクトな居住装備を持っている人なら少し余裕ができると思います。
荷室とポケット構成は、メイン荷室・パソコン用スリーブ・フラップにジッパーポケット・背面に2つの大ポケット・両サイドに幅広のメッシュポケット、となっています。過不足のない、シンプルで良いバッグという印象です。また正面にはループもあるのでバンジーコードを通せばウェアを挟んだりもできます。機能面でかなり練られたバッグであると感じます。
細部の使い勝手を見てみよう
細部を少し観察しましょう。背面にはボタン式の大きいポケットが左右にあり、右側にはレインカバー専用と思われる小さい仕切りがあります。この仕切りは、別になくとも構わない気はしますが、恐らく濡れた状態のレインカバーをここに入れることでその他のアイテムを濡らさないための工夫でしょうか。私はこのポケットにパンク修理セットを格納しています。
バッグ内部にはパソコン用と思われるスリーブがあり、外側のフラップにもポケットがあります。こちらのジッパーは両開きファスナーになっていて、逆Y時形のバックルを留めた状態でも内部にアクセスできるようになっているのがなかなか良いです。ジッパーは滑りが良く、バッグ全体の質感も素晴らしく、高級感があります。バックルも刻印があっておしゃれ。
下の写真では少しわかりにくいかもしれませんが、今回のキャンプ中、このバッグは枕としても活躍しました。中身を抜くと傾斜がまさに枕向き。もちろん枕が不要な方は、寒い季節に脚を突っ込んでおくこともできるでしょう。
転生したら旅自転車だった件
これだけモノが入るのか、と正直驚きました。今回の旅では、先に紹介したすべてのアイテムをこのバッグに入れるとコミコミで8.5kgくらいでした(バッグ本体は公称1.4kg)。加えて道中で2Lの水を購入し、写真や動画の撮影機材もバッグの上に載せていたので、トータルで12kg弱の荷物。ロードバイクやグラベルロードであればパニアバッグが必要になる荷物量です。
取り回しだけは少し慣れが必要。走りはじめれば何も問題ないのですが、バイクを押し歩く時の方向転換などはさすがに重さでハンドルを取られるので、気を使う必要はあります(原付が中型バイクになったかのよう)。しかし、この重さでもフロントホイールがまったく振れたりしないのでブロンプトン本体のヘビーデューティー加減も再認識することになりました。
誰がどんなふうに使っても良いわけですが、この大容量、日常のライド(ポタリングや通勤など)では持て余すかもしれません。しかし宿泊装備を入れてツーリングに出かけたい、という方には間違いなく最適解。街乗りのつもりで買ったブロンプトンも、このBorough Roll Top Bagを追加することにより、ゆるポタ車から旅自転車へと転生します。
筆者はこのバッグの購入時、容量25Lでバッグ自体が防水の「Brompton Borough Waterproof Bag Large in Navy」にするか、本品にするかで悩んだのですが、CBNに投稿されたrinreyさんのBrompton Roll Top Bag 28Lレビュー、Brompton Roll Top Waterproof Bag 25Lレビューを参考に、最終的に容量優先でこの28Lを選びました。結果は大満足。
ブロンプトンオーナーで、なんとなく自転車キャンプに興味がある方。このバッグと、テントと寝袋、寝袋の下に敷くマットだけ手に入れれば、あとはもう旅に出るだけ。行っちゃいましょう! 食料と水はコンビニで調達すれば良し。とにかく出かけてしまう。最初から難しく考えない。自分に本当に必要なものは何かなど、旅を重ねなければ見えてこないのだから。
さあこのバッグを手に入れ、旅に出よう。ゆるポタのその先にある世界へ。これ以上、何を待つというのか。今でなければ、いつなのか。後のことは何とかなる。仕事や家庭や世界情勢のことは忘れ、プチ家出してみよう(※何とかならなかった場合の責任は取りません)。都市生活とインターネットを忘れ、水の音に耳を澄ましに、火と星を眺めに行こう。
真面目な話ですが、旅に関連する主要な装備はぶっつけ本番で使うと思い通りに行かないことがよくあるので、可能なら出発日の数日前までには手に入れておき、近場で使用感を事前に確かめておいたほうが良いですね。行楽の秋、この素晴らしい季節にブロンプトンで自転車ツーリングを試してみたい方は、はやめに入手して慣れておきましょう。