勝手にしろと叫んで吠えた、nadokazuです。
よろしく俺に チューニング…!
というわけで、本日の駄文はこちら!
「ハンドメイドバイシクル展」とは?
ハンドメイドバイシクル展は、(一財)日本自転車普及協会 自転車文化センターが主催し、自転車活用推進議員連盟/自転車活用推進本部が後援する展示会。国内外のビルダー/パーツメーカーによる「独創性あふれる自転車」や、斬新な機構を取り入れた「独創性の高いパーツ」が展示されています。
参考 自転車文化センター「2023ハンドメイドバシクル展開催決定!」
フレームビルダーさんなんて、市井の自転車乗りには圧倒的に馴染みの無い世界にいらっしゃるプロフェッショナル。そんな方々の手による自転車やパーツが、1カ所で見放題のハンドメイドバイシクル展。考えてみると、こんな機会は滅多にないですよね。
というわけで、行ってみることにしました。2023年の開催は1月21日(土)・22日(日)の2日間。22日はパレスサイクリングも催されているので、自転車で行くのが楽しいかも!
と、思って玄関を開けたら、地獄のような寒さだったのでサクッと自家用車にチェンジしました。初っ端から敗北!
著名ブランドの製品と、何が違うの?
ここで展示されている製品群が、著名ブランドによる「普通の自転車/自転車用品」と大きく異なるのは大量生産・大量供給が前提になっていないこと。変た…個性的で、あたおk…独創的なモデルが勢揃い。設計者の方々が、やりたい放題やってる感がすげーです。
なんだかもう、ありとあらゆる展示が圧倒的な熱量を発しまくり。素人には何が凄いのかサッパリわかりませんが「なんだか超絶すっげーモノが並んでる!」ということだけは伝わりました。
個人的に気になったのは、このモデル!
主催者発表によると、出展社は38社。蒼々たる顔ぶれですが、無知なゆるポタ野郎の自分にはオーダーフレームなんて高嶺の花以外のナニモノでもありません。どちらかと言うと、折り畳みやミニベロの方に目と心を奪われました。
折り畳みのフルサイズロードバイク! 5LINKS MUSASHI/R
「こーゆーのがある」というのは知っていたのですが、実車を目の当たりにするのは初めて。パッと見だと、なにも特別なところのない普通のロードバイクにしか見えません。
ところが!
このMUSASHI/Rは、リア三角を前方に折り畳める構造になっています。クイックレバーでハンドルの角度を変えられる独自パーツとの合わせ技で、フルサイズのロードバイクが700Cのホイールと同じぐらいのサイズに変形。これ下手な折り畳みミニベロロードよりも、ずっとコンパクトになっているのでは…!?
そのうえ専用設計のハブで組まれたホイールを使うことで、スプロケをフレーム本体に装着したままホイールの脱着が可能。チェーンがたるまないので、ホイール脱着に伴うチェーン落ちが発生しないうえ、たるんだチェーンをチェーンハンガーで固定するなどの手間もナシです。もちろん普通のホイールを普通に使うこともできちゃいますから、ミニマムコストで組むことだって無理なく可能。ヤバい欲望が、いきなり全開になりかけます。
落ち着け…落ち着け自分…!臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!
独自パーツのひとつ。クイックで固定を緩めて、ハンドルの角度をサクッと変えることができるステムエクステンション。ステムのロゴにAFが引っ張られて、パーツとクイックがピンボケになってることに気付いたのは帰宅後のことでした。
これ、MUSASHI/R以外の折り畳みロード(それこそTyrellとか)に流用できたりしないかなー。
参考 5LINKS 製品情報「700c MUSASHI/R」
縦型変形でフットプリント極小! 5LINKS2 169
フルサイズのMUSASHI/Rと一緒に、小径折り畳み自転車も展示されていました。16インチホイールに、外装9段変速。ほほう…これは…。
縦折りでも横折りでもない、謎な折り畳み方式での変形。折り畳み形態時は縦型になるので、フットプリントが一般的な折り畳み自転車より圧倒的にコンパクト。ことフットプリントに限ってみれば、比較対象はブロンプトンやDAHON K3じゃなくて極小径車のキャリーミーになるでしょう。ジャカジャン!こいつはすごいぜ!!
専用設計の輪行袋は、底部にキャスターを装備しています。収納時に、駅構内の運搬が超絶ラクチンになるのは間違いナシです。
気になったのは、ハンドルの高さが調整不可能なこと。試乗してみないと断言はできませんが、ちょっとアップライトな乗車姿勢になっちゃいそうです。
ダウンチューブがワイヤー! テンション シルク ミニ
会場をウロウロしていると、クラシカルな雰囲気のミニベロに目がとまりました。ハンドルステムやシートステー付近を見てみると、どうやら折り畳み自転車っぽいです。が、そのシルエットからは、なんだかとてつもない違和感を感じます。
あれ? この自転車、ダウンチューブが細すぎません??
よくよく観察してみると、ダウンチューブがパイプではなく「紐」です。これ、なんていう女神様の装備品ですか?
思い返してみると、確かにDAHON K3でも同じようにワイヤーでフレーム剛性を確保していたりします。だとしても、やっぱりメインフレームの一部分をワイヤーにしちゃうって…こんなのってアリなの!? この発想の自由さは「さすがハンドメイドバイシクル展」と、唸らざるを得ません。テンション シルク ミニ…恐ろしい子!!
参考 DAHON公式サイト「テクノロジー」 ※「Deltec」の項目を参照。
うわー!ナニコレナニコレー!!と心の中で興奮して写真を撮るだけで立ち去ってしまい、試乗させてもらったり折り畳んだときの状態を見せてもらったりをお願いできなかったのが悔やまれます。
参考動画:
リムまで木製! マホガニーバイク No.T-5
木製フレームはいくつか展示されていましたが、この自転車はハンドルステムにシートポスト、挙げ句の果てにボトルケージやリムまで木製でした。長い下りとかでブレーキかけ続けても、大丈夫な構造なんでしょうか?(大丈夫なんでしょうけど)
それにしても、この造形!この加工!この仕上がり!なんという匠の技でしょう…。溜息しか出ません。
参考 SANOMAGIC(TM)「佐野末四郎が作ったマホガニーバイク一覧」
キャスター装備の折り畳みミニベロロード! PATTO BIKE HUGA-20
フロントダブルで、ドロップハンドル装備の折り畳み自転車!ということで、無条件に吸い寄せられていきましたが、シートチューブになにやら見慣れぬモノが。
よく見てみると、この黒い円形の部品はキャスターですね。折り畳み状態での移動用であるのは間違いないはずですが、なぜこんな位置に…? そしてトップチューブやダウンチューブの根元には、脱着/可動箇所になっているのであろう固定用のパーツ(レバーとか)が配置されています。ここからどう変形して折り畳まれるのか、皆目見当がつきません。
折り畳んだ状態は、こんな感じ。メインフレームは横折り、フロントフォークは縦折り式の構造になっていて、ホイールの脱着なしでこの状態になります。Tyrell FXだと、ホイールを外さないとこのサイズ感にはなりません。新幹線の座席1つ分の横幅でも収まりそうですから、東海道新幹線で輪行するときも安心感は絶大ですねー。
展示スペースの後方には、スーツケースに収納した写真をメイングラフィックにしたポスターが貼られていました。
床の間に飾りたい! ケルビム Hummingbird
独創的で個性的なフレーム形状の自転車が並ぶハンドメイドバイシクル展の会場内でも、ひときわ目を引く異形のデザイン。1985年の東京モーターショーで公開された、スズキのコンセプトモデル「ファルコロスティコ」を思い出しました。
これ、もう自転車じゃなくて芸術品ですよね!? 屋外に出したらダメなやつですよね!? 床の間に置いておいたら、おかず無しで丼ご飯を何杯でも食べられそうです。
チタン製ミニベロロード! OGRE MV01R
Tyrell XF(125万円)とか、ブロンプトンT-Line(日本円では約70万円と言われていますが、為替レート次第ではどうなることやら)の存在からもわかるように、素材に凝りはじめると行き着く先はチタン製ということになってしまうのでしょう。
ONDAフォークを彷彿とさせる、トップチューブの造形。そしてなにより、焼けたチタンの色…。これはシビれますねー。
参考 WELD ONE「Mini Vero OGRE MV01R (451)」
番外編:ZWIFTの次の姿? VR競輪シミュレーター
VRヘッドセットを装着して、バーチャルサイクリングが可能なシステム。360度カメラで撮影した実写映像が表示されるので、仕組み的にはZWIFTよりもRouvyに近い形です。
参考記事:
首を左右に振ると一緒に走っている選手が見えて、上を向くと空が見える。顔の動きと連動してリニアに動く視界による没入感は、すさまじいレベルです。ペダルを回し始めてすぐ、「実際にトラックを走っている」という感覚に取り込まれました。
ペダリングの負荷に応じて風力を変える謎扇風機「Wahoo KICKR HEADWIND」も連動していて、リアリティは抜群。これが実用化されたら、完全に引き籠もりサイクリストになってしまいそう。
トラック2周とわずかな距離での体験でしたが、VRヘッドセットの重さは一切気になりませんでした。重要なのは、むしろ汗対策。顔と接触する部分にペルチェ素子を配置して強制冷却しちゃうとか、ヘッドセット側のブレイクスルーが必要だと感じます。
いずれにしてもVRヘッドセットを装着した360度視界によるバーチャルサイクリングは、掛け値無しに「革命的」と言えるだけの体験です。多少汗が気持ち悪かろうが、ZWIFTがコレに対応したらVRヘッドセットを即買いする自信があります!
参考 株式会社シネマレイ『ペダル負荷と風圧も再現。プロの競輪選手と対決できる「超リアル競輪VR」』
次の1台は、ハンドメイドのモデルで!?
限られた販路でしか購入できないし、パフォーマンスに関する情報も入手しづらい。そのうえ注文から納車までの時間もよくわからない、ハンドメイドバイシクル展で見かけた自転車たち。
なんですが!
量産品では絶対に持ち得ないプロダクトとしてのオモシロさ、興味深さがある「ほかにないモデル」が揃っているのは間違いのないところ。
「フレンドリーな価格設定」のロードバイクが、軽く100万円を超えてしまうのが今のご時世です。そうなると「次の1台」を考えるときの方向性としては、こっち方面の選択も以前よりは全然アリになっているのかもしれません(LOOK 785 Huez RSが欲しくないとは言ってない)。
本稿では個人の趣味でミニベロや折り畳みばっかり取り上げましたが、フルサイズのロードやランドナーもいろいろ展示されていました(むしろそっちがメイン)。これは毎年見に行く価値が、確実にありますね。そして、今までこんなオモシロい展示会を完全スルーしていた事実に、後悔の念で心が潰れそうです…サヨナラ!(爆散)