スポーツサイクリングが女性フレンドリーになりきれない理由

北米の人気インスタグラム・ミームアカウントFeed Zone Newsが「スポーツサイクリングと女性」をテーマにした作品を投下しています。冗談投稿ではあるのですが、実はかなり真面目な内容です。

サイクリングを女性フレンドリーなものにするには

投稿タイトルは「部屋一杯の男たち、どうすればサイクリングを女性にとってより親しみやすいものにできるかを検討。今度こそ本気だ、と彼等は誓う」という感じのものです。立派なスーツを着た男性ビジネスマンたちがノートパソコンの前で何やら相談しています。そこに女性が1人もいないところがミソです。

3人の背後のホワイトボードにはブレインストーミングのアウトプットらしきものが書かれています。

  • ピンク色のバイク?
  • 花柄キット?
  • 女性専用ジオメトリー?

その下には、次のような言葉が書かれていてバツが付けられています。

我々のスポーツに蔓延する内在的なセクシズムを認めること + 女性を権限のあるポジションに据えて意見を聞くこと

この投稿は、スポーツサイクリングがもっと女性にウケるようになるには「花柄キット」のような表面的なことだけでは効果がないのだ、本当に必要なのは「セクシズムを認め、女性に力を与え、話を聞くこと」であるにもかかわらず、男性陣はどういうわけかその方向のアプローチは却下してしまっている、という状況を揶揄しているものと言えるでしょう。

サイクリングへの女性の参入障壁は何か

確かに「女性が好みそうな」ペイントのバイクやウェアを用意することは重要かつ効果的な方法であるのは間違いないでしょう。しかし「女性はこういうものが好きであるに違いない」という発想はどうしても男性による思い込みになりがちで、場合によっては裏返しの性差別になることもあります。

これは自転車に限らず、一般社会、ビジネスの現場でもよく取り上げられる話題ですよね。こうした場合、アイデアを出す層と意思決定層に女性がいることが大事になってきます(でも現実はそうなってはいない、というのが上の投稿が示唆しているところです)。

最近、ビッグブランドが女性専用ジオメトリーを減らしてきている感じがします。下の記事でも書いたのですが、TREK Domaneの新モデルからは女性用モデルが消えました。

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ただそれは「女性のことを考えるのをやめた」というより、「実はジオメトリーは男性・女性で分けてもあまり意味はないし、マーケティング的な訴求力も少ない」とブランドが思いはじめたからではないか、と個人的には推測します(※単に両方用意するお金がないだけだったりして)。

ではどうすればもっと女性にロードバイクに乗ってもらえるのか…(ロードでなくてもいいですが)

今年は日本のプロロードレース界でも、東京オリンピックの代表入り基準が男性選手と女性選手とで大きく違う、ということが話題になりました(参考: 東京五輪自転車ロードレース女子代表選考基準を巡り、與那嶺恵理が仲裁を申し立て)。

自転車に限ったことではないとは思いますが、やはり根本にあるのはセクシズム(性差別主義)なのでしょう。この問題に取り組まないと、「花柄キット」で一時的に状況を打開できたとしても長続きしない、ということになるのではないでしょうか。

他の例としては、自転車雑誌の表紙で可愛らしい女の子に刺激的なポーズを取らせる、というのも男性目線のセクシズムであって、そういうことをしても女性サイクリストが増えることにはならないんじゃないでしょうか。

グラベル・ツーリングは良い兆し?

こういう状況の中で、昨今のグラベルロードの流行は、もしかしたら良い起爆剤になるのではないかという気もします。グラベルといっても競技系のグラインデューロではなく、アドベンチャー・ツーリング系のサイクリング、あるいはシクロツーリズム。レースの世界に比べて、男女間の溝が比較的少ないような気がするんですよね。

えっ、女性はそんな大変で疲れるサイクリングより、ポップでキュートなジャージで舗装路をロードで走るのを好むんじゃないのか?

という発想がもしかしたら男性特有のものだったりするのではないでしょうか。いや、知らんけど(私は男性なので結局のところはわからないのです)。

ウェアとしてはRaphaの成功以降、ミニマルで落ち着いたデザインが流行しています。一時的な流行なのかどうかは不明ですが、最近のロードバイク新モデルもメーカーロゴが遠目にはほとんど見えないくらい小さくなったりと、時代はミニマリズムに向かっています。

こうした動きはどうも相互に関連しているような気がします。そしてこの先にあるかもしれない新しいサイクリング世界、女性だからといって差別しない、かといって特別扱いもしない、という世界は、もしかしたら女性にとって居心地の良いものになったりするのでしょうか(※まぁ、これも男性による浅薄な考えかもしれませんが)。

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