何千回も何万回も
坂を登った脚こそが、
速い自転車をつくるんだ!
データやマニュアルなんて、
俺の経験の ほんの一部でしかない!
ハハハハハーーーーーーッ!
「最凶」の自転車乗り、nadokazuです。
機材は心? 違うね!
機材は勝負だ!
というわけで、本日の駄文はこちら!
「Di2」と「eTap」頂点を極めた、電動変速コンポーネント!
「DURA-ACE」の電動変速モデル、「R9150」シリーズ。シマノが世界に誇る、トップグレードコンポーネントです。
そしてワイヤレス変速という革命的な機能性を持って市場に現れ、今なお進化を続けるSRAMの「RED eTap」。
この両者こそ、電動変速コンポの頂点を争う存在に他ならないと言えるでしょう。
ディスクブレーキと12段変速がすっかり主流になった昨今、かなり今さらで残念感が漂う感じではありますが、リムブレーキ11段変速のトップ2モデルを比較してみたいと思います。
そりゃあ「DURA-ACE R9200 Di2 vs SRAM RED eTap AXS」なーんて比較ができれば最高ですけど、そーゆーのはメディア様のお仕事ですよね。だいたい、そんな最新高額機材を、素人に用意できるはずがありませぬ。なので本稿で記載の「eTap」は、11速のeTapのこと。「Di2」も、11速のDi2のことです。念の為。
「SRAM RED eTap」完全紐なしコンポーネント!(でも11速)
ワイヤレスですよ、ワイヤレス!究極の見た目スッキリ変速システム、SRAM「RED eTap」。11速モデルはシマノのクランクやチェーンリング、スプロケを使い回せるので、紐変速からのアップグレードにもピッタリでした。
▼ 参考記事
もう何年も使い続けていて、いちど「長距離走行中にRDが変速しなくなる」という悪夢としか思えないトラブルに見舞われましたが、その後は絶好調でいまも絶賛稼働中です。
▼ 参考記事
「DURA-ACE R9150 Di2」世界のシマノのトップグレードコンポ!(でも11速)
「最高位のシステム工学。 各々のコンポーネントが他のコンポーネントの品質を無比の性能レベルへと高めます。 入力の最適化による出力の最大化。 これによって至上のシステムが達成されます。」
なんだかポエミーなワードが羅列されていますが、要するに「これ最高のコンポだよ」ってことですよね。
この不遜にもほどがある物言い、その辺のメーカーさんの発信だったりすると思わず顔をしかめてしまいます。けれど、このポエm…コピーの語り手は、ほかの誰でもないシマノです。もはや、説得力しかありません。
「DURA-ACE9150シリーズ」は、世界のシマノがリリースしたトップグレードモデル。つまり、世界一の電動変速コンポーネントってことですよね(疑うことを知らない信者の瞳を輝かせながら)!!
我がシマノの技術力はァァァアアア
世界一ィィィイイイイ!
「Di2」と「eTap」は、どこが違う?
そんな「eTap」と「Di2」ですが、共通点は電動コンポというカテゴリだけ。システム構成から操作方法、使い勝手まで「何もかも」が違います。
システム構成は、こう違う!
Di2とeTapのシステム構成上で最も大きな違いは、シフターとディレイラーの接続方式とケーブルの有無。
eTapは無線接続での制御で、シフターもディレイラーも駆動用のバッテリーを個別に装備しています。それに対して、Di2は有線接続での制御。また左右のシフターと前後のディレイラーを駆動するバッテリーは、1個だけです。
なので、eTapが
- 左シフター(ボタン電池内蔵)
- 右シフター(ボタン電池内蔵)
- FD
- FD用のバッテリー
- RD
- RD用のバッテリー
- 充電器
というシステム構成になるのに対して、Di2は
- 左シフター
- 左シフターとジャンクションを繋ぐケーブル
- 右シフター
- 右シフターとジャンクションを繋ぐケーブル
- ジャンクション
- 無線通信ユニット
- 無線通信ユニットとバッテリーを繋ぐケーブル
- バッテリー
- バッテリーホルダー
- バッテリーとFDを繋ぐケーブル
- バッテリーとRDを繋ぐケーブル
- 充電器
という、割と複雑なシステム構成になります。
パッと見でわかる、Di2のパーツの多さ。ケーブルやジャンクションを外付けすると、後から付け足した感がマシマシ。とはいえ、内装するとハンドルやフレーム内がギチギチになってしまう運命を回避できません。
構成としてシンプルでスマートなのは、明らかにeTapです。
操作方法は、こう違う
eTapはシフト操作用のパドルを左右のシフターに、それぞれ1つずつ装備。左パドルでシフトダウン、右パドルでシフトアップ、左右パドルの同時押しでフロントの変速という操作です。
Di2は、左右のシフターにそれぞれ2つずつのパドルを装備。左のシフターでフロントディレイラーのシフトダウン/シフトアップ、右のシフターでリアディレイラーのシフトダウン/シフトアップを制御します。またシンクロシフトを使用すると、ギア比を最適化するようFDの切り替えタイミングで前後のディレイラーが驚きの自動変速。右のシフターだけで、前後のディレイラーの変速操作ができてしまいます。
しかも!シフターにはサテライトスイッチが内蔵されているので、ハンドルから手を離さずにサイコンを操作することだって楽勝!未来ズラ~。
使い心地は、こう違う
●変速が速いのは?
明らかにDi2の変速が速いです。特にフロントの変速が、11速eTapよりも断然速い気がします。わたくし、ラテックスチューブやチューブレスタイヤに変えても乗り心地の変化を体感できないニブチンですが、それでもDi2のほうが速い!というのは感じ取れました。
とはいえ、別にeTapの変速が遅いわけではありません。ハッキリ差はあるけれど、実用上の差はレースなどのシビアコンディションでもない限り皆無だと思っています。
●操作しやすいのは?
eTapはシフトアップとシフトダウンで必ず両手を使いますが、Di2はシンクロシフトを使えば、右手だけでもFD/RDを含めたすべてのギアが操作可能。
「左手の指が、完全にお休みできるDi2の方がラク」
という考え方が、できなくもありません。
とはいえ、2つのパドルを使い分けるDi2のシフターでは、変速操作の前にホンの一瞬だけ「前後どちらのパドルか、指先で判別する」という手順を踏んでいます。
ブレーキレバーをぐわッと倒せばいい紐変速のシフターや、パドルが片側にひとつだけのeTapよりも「Di2は変速操作に気を使っている感覚がある」ことを否定できません。
ただ、これはDi2を使い始めて間もない「今のところ」の感覚なので、単に自分がDi2の変速操作に慣れていないだけの可能性も大です。
操作のしやすさは、互角じゃないでしょうか。
●充電が面倒なのは?
シマノのサイトによると、Di2のメインバッテリーは「1回充電すれば、約1,000 kmを走破できます(目安であり、変速頻度や走行環境によって異なります)」とのこと。※12速105についての記述。
eTapもFAQには「一般的な使用方法で満充電した場合、1ヶ月間の走行、または1,000km以上の走行、約60時間の走行が可能です。」と書かれています。バッテリーの充電タイミングは、メーカーによる公称を参照すると「同じぐらい」です。
だがしかし!eTapのバッテリーは結構小型なので、外で走る前は満充電にしておかないと不安になっちゃいます。「思い込み」の影響甚大ですが、充電の頻度が低くて済むのはDi2のほう!というのが実感です。
それと充電が必要なバッテリーが、eTapは「2個」でDi2は「1個だけ」です。普通に考えるとバッテリーが2個あったら、充電の手間は2倍。そのうえ頻度も多いとなると「充電が面倒!ムキー!!」という感情が炸裂すると思うのですが、eTapにそれを感じたことはありません。
eTapは自分にとって、もはやスマートフォンやデジタルカメラ、サイクルコンピュータにレーダー、心拍センサー、セーフティライト、モバイルバッテリーなどなど「充電が必要なデジタル機器一式」のひとつ(2個あるけど)。サイクリング前日、寝る前に充電器にセットして放置するだけです。「充電するのが当たり前」になっているので、手間を感じることもないし、これまで充電忘れで泣きを見たこともないです。
むしろDi2の充電が、実は随分な手間に思えます。シートポスト内蔵タイプのバッテリーを使っていると、専用ケーブルをジャンクションにあるコネクタに接続しての充電。巨大な自転車を充電器の近くに移動させる時点で、すでに「面倒くさ!」という感情があふれ出して止まりません。
そのうえジャンクションをハンドルに内装していたりすると、充電のたびに「ネジ止めされたカバーをいちいち外す」という作業が強制付与されます。これは、さすがに面倒すぎて絶望しちゃいますね…。
充電に対する手間やストレスを感じやすいのは、Di2だと言えるでしょう。
●トラブルの対処がしやすいのは?
パーツ構成が多いDi2は、トラブル発生時に原因の切り分けで手こずりそうです。ケーブルが内部で断線とかしていたら、目視すら不可能。きちんとハマっていることを確認するコネクタだって、何カ所になるのやら…。もう途方に暮れそうです。
とはいえ、eTapだって「結局何かあったら、その場では対処不可能」なのは変わりません。
トラブル時の対処しやすさは、「どっちもどっち」ですかねぇ…。
●見た目がいいのは?
11速Di2は、有線接続。2本のブレーキワイヤーとケーブル1本が、ハンドルバーからフレームに繋がっています。
このケーブルが細くて、非常に頼り無さげ。何かを引っかけて、ブチッと切ってしまいそうな儚さを感じてしまいます。
さらに!フレームからFD・RDにも細いケーブルが伸びます。変速ワイヤーであれば「千切れる」なんて心配はせずに過ごせますが、Di2のケーブルのこの細さ!細くて実に頼りない印象だし、何かの拍子にチェーンに巻き込んでブチッ!とか、怖い未来を想像してしまいます。
フレームによってはジャンクションやバッテリーが外付けになって、見た目の後付け感がモリモリになっちゃうのも、見た目最優先勢としては気になりまくり。
完全ワイヤレスで、バッテリーもディレイラーに直付けのeTap。システム構成が異なるのだから比較しても意味ナッシングではありますが、見た目の「スッキリ感」だけはeTapの圧勝!と言えるでしょう。異論は認めます。
●折り畳み自転車向けなのは?
Di2を使っていると、細いケーブルの存在が気になります!(2回目)もちろん有線で繋がっているからこその、確実性はあるのでしょう。だがしかし!折り畳み自転車での運用となると、このケーブルが不安要素に早変わり。折り畳み/展開の作業時や輪行での移動時に、ケーブルを挟んだり引っかけちゃったりしないだろうか?と、とにかく心配です。どうにも精神衛生上、よろしくありません。
また「バッテリーを内蔵したシートポストを上下させるときに、なるべく左右に捻らないように注意が必要」との説明を受けました。バッテリーとの接続部分でコネクタが外れるケースがあるから、とのことです。
というわけで、実質無問題なのかもしれませんが、折り畳み自転車向けなのはeTap!と、断言してしまいたいところです。
まとめ
グダグダと書き連ねてみましたが、表にまとめるとこんな感じ。
SHIMANO DURA-ACE Di2(R9150) 11S | SRAM RED eTap 11S | |
バッテリーの個数 | 計1 シートポスト内やボトルケージに固定 | 計4 FD用×1 RD用×1 シフター用×2(左右各1) |
シフターとディレイラーの接続 | 有線 | 無線 |
シフト用のパドル | 計4(左右各2) | 計2(左右各1) |
12速コンポとの互換性 (シフター) | なし | 一部あり(12速「eTap AXS」のシフターで、11速のFD/RDが操作可能) |
12速コンポとの互換性 (ホイールのフリーボディ) | あり | なし(要フリーボディ交換) |
Di2は、非常にすばらしいコンポです。さすがシマノ!と、唸らされます。なんですが、微妙にストレスを感じながら使っていることを否定できないです。
このところ、実走で使うのは折り畳み自転車ばかり。そんな自分の使い方に合っているのは、Di2よりeTapだという気がしてなりません。
おまけ:12速を選んだ方が良かったんじゃないの?
11速メインで使っていて、12速コンポを導入する。そうなると自転車だけでなくスマートトレーナーも12速にする必要があるし、ロードバイクだけでなく折り畳みミニベロの方も12速にしないとロードのメンテナンス中にZWIFTができなくなってしまいます。
スマートトレーナー用にスプロケを1つ用意するだけで、ものすごい人数の諭吉が消えていきそうです…なんでスプロケ1つがこんなに高いの?
それにシマノ紐11速→シマノ12速電動変速へのアップグレードならともかく、シマノ紐11速→SRAM12速電動変速へのアップグレードは困難を極めます。
SRAMの12速コンポーネント「eTap AXS」は、リアディレイラーがトップ10Tの使用を前提にした設計です。そのため、ホイールのフリーボディ交換が必須。けれどフリーボディ交換に対応しているホイールは、ごく一部のモデルに限られます(もちろん手持ちのホイールはすべて非対応)。
シマノの12速スプロケなら11速用フリーボディにそのまま装着できますが、トップは11T。私の通っているショップでは「SRAM12速RD+シマノ12速スプロケット」の組み合わせには、「RDのチェーンギャップに不具合が生じる」などの理由から否定的でした(トップ11TのスプロケでeTap AXSのRDを組み合わせている事例はググれば多く見つかりますが、それでもこの結論です)。
ロードはともかくミニベロのeTap AXS12速化って、かなりの無理筋なのでは?
11速環境からの脱出、もう諦めました。SRAMさんは11速コンポの生産中止しないで…。それか、シマノ12速スプロケが使えるトップ11T対応の12速RD開発して!…お願いですから…!!