ブレーキ製品レビュー

TRP HY/RD (HY/ROAD) ワイヤー引き油圧ディスクブレーキを久しぶりに使ってみた感想

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筆者はここ最近TRPのメカニカルディスクブレーキ「SPYRE」(の軽量版であるSLC)を主に愛用してきたのですが、久しぶりに同社のHY/RD(ハイロード)に換装してみました。筆者のHY/RDはポストマウントバージョン。フラットマウント版のボディには「HY/ROAD」という表記も見られます。TRP公式サイトの商品ページでは、本記事時点での定価は$149.99。

TRP HY/RD (HY/ROAD)

メカニカルの作業性の高さ、油圧のレバレッジの高さ、両方の良いとこ取りをしたハイブリッド(HY)なディスクブレーキ。登場から約10年ほどになる、良い意味で「枯れた」技術の製品として、今でも結構人気があると思います。

ブリード作業(オイル交換・エア抜き)が比較的簡単

1年以上使っていなかったと思われる個体だったので、オイルを全交換しました。HY/RDはバイクから本体だけ取り外し、卓上でのんびりブリード作業できるのも良いところ。ブリードポートには3mmヘックスレンチとT15トルクスでアクセスします(どちらかに統一してくれたほうがありがたいけど…)。この両方にシリンジをねじこんで、オイルを往復させます(TRP公式による解説動画はこちら)。

TRP HY/RD (HY/ROAD)

今回はリザーバータンクのフタを開けてみました。中はこんな感じになっています。

TRP HY/RD (HY/ROAD)

金属のフタと本体のあいだにはラバー(ゴム)シールがあります。私は今のところ経験がないのですが、 HY/RDではこのシールが劣化することによるトラブル(オイル漏れや、エアまたは湿気の混入が原因と思われる)報告をたまに目にします。私が持っている個体(4個)は今年で5年目になると思うのですが、シールはどれも無事でした。

TRP HY/RD (HY/ROAD)

もしこのシールが傷んでしまった場合は、TRPから補修パーツとして取り寄せると良いでしょう(このページの「レザボワ・ガスケット」という番号2のパーツ。$9.99らしい)。

シリンジ(筆者はTEKTRO WORK SHOP SERVICE KIT付属のものを使用)でオイルをゆっくりと何度か往復させ、大きい気泡(エア)を出し終わったら、リザーバータンク側のシリンジ本体を、ホースだけ残して取り外します。この状態でアクチュエーションアームをグイグイ・パチパチと動かしたり、本体を傾けたりコツコツ叩いたりすると、小さい残留気泡が上がってきます。

TRP HY/RD (HY/ROAD)

今回は上の写真の状態(アクチュエーションアームをタイラップで縛ってある)で一晩寝かせてみたものと、上の作業の後に寝かせずにすぐに仕上げたものとで動作を比べてみましたが、システムの硬さはほとんど変わりがなかったように思います(ただ、小さい気泡が残っていると時間の経過とともに後で固まってトラブルを起こす可能性もあるような気がするので、丁寧に作業したほうが良いのだろうと思います)。

▼ ブリーディング作業時にはイソプロピルアルコールを手元に用意しておくと便利。100均のスプレー容器等に入れて作業後のキャリパーに噴霧してオイルを拭き取ると、パッドへのコンタミを防止できます

レバーの引き量を小さくする改造

ちなみに私のHY/RDはすべて、ブレーキレバーのトラベル量(引き量)を少なくするために、本体に金属ヤスリ(ファイラー)で溝を切ってケーブルのルーティングを変えてあります。

TRP HY/RD (HY/ROAD)

HY/RDはリーチアジャストのないシマノの旧型ブレーキレバーや、カンパニョーロの一部のレバーでは底付きするくらい引かないといけないという問題があり、それに対応するのための改造ですが、TRP純正のブレーキレバーを使っている私の場合でもこの改造を施したほうが好み。TRP公式サイトでは言及されていない改造ですが、TRPの中の人によるものと思われる解説動画があることで有名な裏技でもあります。

久しぶりに使ってみて…

さて、久々にHY/RDを使ってみた感想は、これまでと同じ「油圧未満・メカニカル以上」というものです。などと書くとそのままやんけ!と文句を言われそうですが、

  • バイト感(パッドがローターを挟む感触)は、油圧ほどの「ガツン」とした勢いではないが…(フルメカニカルのSPYREのバイト感とさほど変わらない)
  • それでもSPYREに比べると、確実に少ない力でロックまで持っていける

という感じでした。バイト感は、油圧には若干劣る。しかしレバレッジはメカニカルよりも高い。ということで、やはり「油圧未満・メカニカル以上」というのが正直な感想です。

それでいてリブリード作業はフル油圧システムに比べると、個人的にはやりやすいのが良いところ。

明らかな欠点は、ちょっと重いところ(私はポストマウントアダプターも必要なのでなおさらかもしれません)。

これまで、使用半年くらいで一回だけ明らかにエア噛みでやや効きが悪くなった経験をしました。海外掲示板を見ていると、極端に寒かったり暑かったりする環境でエア噛みするケースがあるようです。

やっぱりとても良い製品だと感じます。しかしフルメカニカルのSPYREが良すぎるので、SPYRE使用経験のある方がHY/RDにアップグレードしても、ビッグな感動はないかもしれません。でも「確実に上だな」という感じはあります。

▼ 私が使っているのはシマノのミネラルオイルとテクトロのブリードキット。TRPのHylex(フル油圧)もこれで仕上げています。

TRP HY/RD Caliper Flat Mount
ティーアールピー(Trp)
著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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