ちょっと前からXOSSの激安GPSサイコン2モデルが話題になっています。ナビ機能のないXOSS G+と、ナビのあるXOSS SPRINTです。G+の実勢価格は3,000円前後。SPRINTはクーポンが使える時で8,000円〜13,000円と幅があります。
今回私は街乗り用バイクが1台増えたので、それ用に「G+」を買ってみました。
4日前くらいに¥ 3,449で買ったのですが、いまamazonで見たら¥2,980! く、悔しい〜!
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さてこの激安GPSサイコン、使いものになるのか、ならないのか。気になっている方のお役に立てるような記事を目指して書いていきたいと思います。
XOSS G+ 中に入っているもの
まず同梱物を見ていきましょう。本体のほか、短いUSBケーブル、簡易なマウントとラバー台、バンド2本が入っていました。
XOSSのケイデンスセンサー付きのセットも売ってます。私はXOSSのセンサーを既に持っているのでG+単体の安いほうを買いました。
マウントはGarminマウント互換のクォーターターン式です。これはすごくありがたいですね。ただ、付属マウントだと入れるのは簡単ですが、最初は外す時に固めでした。何度か付け外しするとすぐに馴染みます。
大きさの比較
本体の大きさを手持ちのLEZYNE SUPER GPS, GARMIN EDGE 500と比べてみました。上から見るとXOSS G+がいちばん大きいです。しかしLCD画面がいちばん大きいのはLEZYNE SUPER GPS。
ちなみに横から眺めてみた時に、いちばん高さがないのがこのXOSS G+で、そこは優秀です。逆にLEZYNE SUPER GPSの縦方向への分厚さがちょっと目立ちます。
サイズ感・外観的には可もなく不可もなく、というか、裏面のマット仕上げのボディも含め、高級感こそないものの極端に安っぽい感じはしません。むしろ3,000円にしては立派な外観だと思います。このあたりは主観で結構違ってくるでしょう。個人的には「カッコいい」まで行かないけれど「ダサくはない」という印象です。
スイッチ入れてみた
ではスイッチを入れてみましょう。右下の電源ボタンを長押しすると、数秒間この画面が表示されます。ここにはこのGPSサイコンで表示可能なすべての項目が出ています。
何が計れるかというと、
- 経過時間
- 標高
- 現在時刻
- 心拍数
- スピード
- ケイデンス
- 斜度
- オドメーター
で、スピード・心拍・ケイデンスについては最大とアベレージを計れます。
表示可能な画面
表示可能な画面は3つあります。これは電源投入後、右下のボタンを押すごとに変わります。
- 第1画面:現在時速・現在時刻・心拍・走行距離・ケイデンス
- 第2画面:平均速度・標高・平均心拍・斜度・平均ケイデンス
- 第3画面:最高速度・現在時刻・最大心拍・オドメーター・最大ケイデンス
という構成になっていて、個人的には非常に論理的でわかりやすいと思いました。最初の画面は「現在」に関するもの。次の画面は「平均」に関するもの。次の画面は「最大」に関するデータがメイン。使いやすいと思います。
ただこれらの画面数を増やしたり、データフィールドを増やしたり自分の見やすいようにカスタマイズするという機能は、ありません。
まぁこれがカスタマイズ可能だったらちょっと恐ろしいですけどね。3,000円ですからね。
センサーはANT+のみ認識
スピードセンサーやケイデンスセンサー、ハートレートモニターとペアリングする時は、本体下のハードウェアボタン2つを同時に長押しします。するとSPD/HR/CADというアイコンが点滅します。これはセンサーを検索中という意味。目当てのセンサーとペアリングが完了したら、点滅から点灯に切り替わります。
私自身はこのGPSサイコン、センサーを全く使わずに使う予定なのですが、センサーを使いたい方も多いと思うので、いくつか試してみました。
私が使っているXOSSのスピード・ケイデンスセンサー(記事)は問題なく認識されました。
しかしCATEYEのハートレートモニター、HR-12(Bluetoothモデル)がいくらやっても認識されない!
と焦ったのですが、これは私の勘違いだったらしく、認識できるセンサーはANT+のものだけ。Bluetoothはスマホとの通信のみで使われます。
専用アプリをダウンロードしてみる
さてこのXOSS G+ですが、次のことをやるためにはスマホアプリが必要です。G+単体で設定可能なのは「スピードセンサーを使う時のタイヤ周長」と「時刻」と「速度単位」だけで、他は設定できません。
アプリがあるとできるようになるのは、
- XOSSアプリへのGPSログのアップロード・アクティビティの表示
- Stravaに同期するためのアカウント情報入力
- ユーザー設定(性別・年齢・身長・体重・最大心拍数・LT心拍・FTP・心拍アラート・スピードアラート)
- バックライト設定(オート・常にON・オフ)
- ビープ音の有無
- オートポーズのON/OFF
- タイムゾーン設定
- ファームウェアのアップデート
- 工場出荷時設定へのリセット
です。
しかしこの専用アプリを使うためのハードルが結構高いです。
まずアプリをダウンロードするのですが、その時にユーザー登録する必要があります。
この時、メールアドレスが入力時に表示されないのです。パスワードフィールドみたいに真っ白で打ち間違えていないかどうか気になります。
ユーザーアカウントとメールアドレスを入力したら、認証コードをメールで送ってもらい、それを登録画面に入力する必要があるのですが、これが数十秒のタイムリミット付き!
ようやく届いた認証コードを入力して、今度はパスワードを入れる必要があります。パスワード何にしよう、などと考えていたら認証コードが期限切れになります。めっちゃ忙しいです。無理ゲーとまでは行きませんが意味不明な忙しさ。
外で使ってみよう
じゃー早速外で使ってみよう! というか、ここで大事なことをひとつ。
XOSS G+はインドアでの使用を想定していません
と、公式サポートが言っています。実際、室内で使っても走行距離は出ないので注意しましょう。
さて、外で使いはじめて気付いたのですが、いきなり現在時刻表示がヘンです。この時は12時22分くらいのはずなのですが…
どうやらXOSS G+は、現地時刻を自動で表示してくれる機能はないようです。XOSSのスマホアプリを起動し、”Settings”から”Sync Timezone”で”+9″を選んだあとに、右上の”Save”ボタンを押してはじめて日本時間が表示されます。
これは地味に不親切です。単純な機能だと思うのですが、実装にはわりとコストがかかったりするのでしょうか(特許絡みでしょうか)。いずれにしても面倒臭い。
そしてこの日はGPSログの精度を見るのに最適な東京レインボーブリッジにやってきました。これは以前記事で書いたのですが、レインボーブリッジは上を高速道路で覆われた車道を自転車を押して歩く必要があり、Garminだとこの条件下でも見事なログを残してくれるのですが、Lezyneだとメチャクチャになった、ということがありました。
果たしてXOSS G+のログの精度は如何に。Garminほど良いデータになっているわけではないですが、Lezyneに比べてどうなのか、興味ありますよね。
だがしかし、ここで問題発生です。
このG+、歩く程度のスピードになると、なおかつGPSの電波のつかみが悪いと、オートポーズ(自動停止)がかかってしまうのです。
そこでスマホの設定画面から、オートポーズ機能をOFFにしました。
だがしかし! オートポーズがOFFになりません!!
完全にバグです。何をどうやっても、GPS電波の良いところで使っていても、停止すればオートポーズが入ります。必要な人には便利ですが、OFFりたい人には困ります。
さらにです。G+がログを記録中は、設定変更ができません。ログの記録を中断(左下ボタン長押し)する必要があります。そのためこの日のログはかなり細切れになってしまいました…
Stravaとの同期はどう?
まぁ私の使い方としては、スピードセンサーもケイデンスセンサーもハートレートモニターも使いません。ログも大体何処を走ったかが分かれば良いです。
オートポーズをOFFれないのは歩行区間があることを考えるとイヤなのですが、いずれファームウェアのアップデートで何とかしてくれるだろう…
とりあえずStravaと同期できればOKかな。
というわけで、XOSSのスマホアプリにStravaのログイン情報を入力し、同期を可能にします。アプリ左上のアバター(人型アイコン)をクリックするとこの画面に入れます(ただしXOSS G+と接続状態でないと入れません。微妙に不便)。
だがしかし。いつまで経ってもStravaにライドが表示されません。
LEZYNE SUPER GPSの場合も、LEZYNEアプリからクラウドにアップする時はやや遅れてStravaに反映されるのですが、XOSS G+の場合は…
Stravaに全然表示されない!! 同期できない!!
XOSSのアプリを一旦削除し、G+からインポートしたライドデータを同時に削除させ、XOSSのアカウントを新しく取り直し、あらかじめStravaアカウント情報を入力した上で、あらためてG+とスマホを同期させました。
しかし結局、Stravaとの同期は成功しませんでした…
これやばいじゃん。
amazonのユーザーレビューを読むと、私同様、Stravaと同期できないという方がやはりいました。
また英語圏の情報を調べたところ、上位モデルのXOSS SPRINTでやはり同様にStravaにデータをアップできない、という方が1年前から存在しています。
XOSS G+は、SPRINTもそうらしいのですが、PCやMacにUSBドライブとしては認識されません。そのため内部の.fitや.gpxファイルなどを取り出して手動でStravaにアップロードする、ということができません。XOSSのスマホアプリにもそういう機能はありません。
ただ、Stravaに同期できないのはごく一部のユーザーに限られるのかもしれません。これが一般的だったらamazonのレビュー欄でもっと苦情が出ていると思うんですよね。私は残念ながらStravaアップ不可。
2019年11月10日現在、最新のファームウェア(version 0.11)を使用しています。iOSアプリも最新版です。これ、いつかなおるのかな。
ちょっとこれは痛いなぁ。ほんとに大体でもいいので何処を走ったか、そのログは見たい。XOSSのスマホアプリでは見られるし、データ分析のページも充実しているのですが、PCサイトがあるわけでなく、やはりStravaで一元管理したい。
GPSデータが使えないとなると、ただのサイコンです。
いや、ただのサイコンとして考えても3,000円でこれはかなり良いものではあるのですが、うーん、ビ、ビミョーかな… ファームウェアで解決できる問題が多いと思うんですが、このまま解決されずに放置される可能性も十分にあります。だって1年前から同じような問題が報告されているのです。
画面の視認性について
XOSS G+は数字が大きくていいな、と室内で眺めていて最初思ったのですが、外で使ってみて思ったのは
文字は大きいが、細い
ということです。
この時、LEZYNE SUPER GPSのフォントがかなり考えられた優れたものであることを理解しました。最初、SUPER GPSのフォントってちょっと格好悪いと思っていたんですよ。ゲジゲジ眉毛みたいで美しくないなぁ、と。
しかし横に並べて走ってみると、SUPER GPSは圧倒的に数字が見やすいです。文字は、大きさも大事ですが、太さも大事なんですね。これは発見でした。
XOSS G+の文字は、スピードの下のデータフィールドになると私には走行中に見るのが難しいです(これは年によって違うはずw)。
どんな人におすすめできるか
さて、これはどんな人におすすめできるサイコンなのか。
うーん… まず、私が経験したような「オートポーズをOFFにできない」件、「Stravaにライドデータを同期してくれない」件が一般的なものなのかどうかで、評価が大きく違ってきます。
私同様のトラブルを経験している人は確かに他にもいるのですが、どうも「多くの人がトラブルを経験している」と言えるようにも思えないんですよね。XOSS G+を使われていてこの記事を読んで下さった方、是非ご意見を共有していただけると助かります。
もしオートポーズもちゃんと無効にできてStravaでも問題なくライドを見られるなら、やはり3,000円は破格の面白いGPSサイコンだとは思います。精度の高いデータを求める方にとってどの程度使えるかはまた別なのですが、少なくとも街乗り用自転車のサイコンとしては十分あり、だと思います。
問題なく使えている方、おめでとうございます!(羨ましい…)
ではそれらのバグがある状態ではどうか。もしGPS関連機能に問題があるなら、街乗り用としても微妙だと思います。
先にも書きましたが、画面に表示される数字は視認性があまり良くはありません。ただ、それも「GPSサイコンとしての機能が充実しているなら」許せるのですが、そうでなければCATEYEのこなれたモデルを買ったほうが良いと思います。
私が入手した個体がもしかしたら不良品に該当するものなのかどうか。そのあたりは不明ですが、私がこのXOSS G+を誰かにオススメできるかというと… 今のところちょっと難しい。
GPS機能がないシンプルなサイコンなら、たとえばCATEYE QUICKのようなミニマルなモデルのほうが面白いですよ。
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ナビなしで、そこそこ良いGPSならLEZYNE SUPER GPSがおすすめです。これは私も愛用していて、GPSログの精度ではGarminにはかないません。でも全体的に価格と性能のバランスが取れた、良い製品だと思います。ずっと使っていますが満足度は高いです。
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国内価格だと1.8万円するので格が違う製品のように思われるかもしれませんが、Wiggleだと9,800円くらいで買えます(海外通販でも時期によってかなり値段が変わるモデルです)。これはXOSS G+との6,000円の差額は十分にあるくらい快適です。
二択なら私はこっちをオススメします。
XOSS G+が脅威になる日
逆に言うと、もしXOSS G+が次の条件を満たしてしまったら、相当ヤバいです。他社製GPSサイコンを脅かすかなり危険な製品になるでしょう。
- オートポーズをきちんとOFFにできる
- Stravaとの連携がもっと単純にちゃんとできるようになる
- 文字がもっと太くて見やすくなる
この3つだけ。もし3,000円の価格を維持したまま少なくともこの3つをやれるのなら、他社のシェアを相当食えるはずだと思います。
でもそれがやれていないというのは、ユーザーからすると簡単な変更のように見えても、やっぱりコストがかかる領域なんでしょうか。あるいはメーカーがユーザー目線を持てていないのか。海外情報を見ていると、XOSSのユーザーサポートはあまりスピード感がありません。今後良くなるかどうか。
個人的にはあと1年くらいは様子見したほうが良いブランドかなと思いました。
XOSS G+に弟分が登場
本記事を書いてからしばらくして、XOSS G+から心拍数とケイデンス表示を省略した「XOSS G」というモデルが出ました。競技志向でない方や、ちょっとしたポタリングで使いたい方にとってはこの弟分・XOSS Gのほうが画面表示もスッキリして見やすいと思います。G+よりも価格が安く抑えられているのが魅力的です(大体1000円ほど安く買えることが多いです)。