これは見た瞬間に爆笑してしまったのですが、単純に笑っていい話でもないな、とやや複雑な心境になったのでした。
「ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物グイード・ミスタが「マウンテンバイキング」、ナランチャ・ギルガが「シクロクロス」。その2人が倒れている人物「ロードバイキング」をボコボコにやっつけています。
それをワイン片手に静観していたレオーネ・アバッキオ。助けに入るのかと思いきや…
手を貸すぜ !!
助けろよw
「立ち上がるんだロードサイクリング、やり返せ!」と投稿者はキャッチコピーを付けていますが、これに対する意見は:
- リアルすぎる
- 全部試したよ。BMXが俺にはいちばんだ
- グラベルライディングって一体何なんだよ? 速く走りたいけどゆっくり乗る言い訳も持っておきたい連中のものか?
- グラベルなんてのは冗談みたいなもんだ
- でも俺はクルマにひかれたりピックアップトラックに乗った太っちょに罵声を浴びせられるのが好きだ
- グラベル:ロードバイクで速く走らないけど他のバイクで速く走りたい人のもの
- マウンテンバイキング? 本当か? もう流行ってからずいぶんになるだろう? シクロクロス? やってみたよ。グラベルライディング? 素敵なマーケティング用語だな。ロードは今でも健在だ。チャンピオンになりたいか? ならチャンピオンを倒すことだ。頑張れよ、お子様ども!
と、センシティブな内容だけにコメント数も少なく、内容もやや攻撃的なものが多いです。
日本でもレース・アスリート志向のロードバイカーとそれ以外のタイプの自転車愛好家のあいだでお互いにけなし合うような光景は珍しくないですが、私が興味深いなと思ったのは外国でもそうなのか、でも何で世界的にそうなってるんだろう、ということです。
コメントをしている方々が何人かはわかりませんが、上の元ネタの投稿者は北アメリカの方。この投稿以外にも冗談で「グラベルロードとかただの流行だぜ」とか「ロードバイクなんかもう終わってるじゃん」といった感じで昨今の自転車状況を揶揄する投稿は欧米の各種メディアで頻繁に目にします。
私は最近シングルスピード・小径車・グラベルロードばかり乗っていたのですが、先日久々にカーボンロードに乗ってみたらやはり独特の魅力があって気持ちが良かった。
うお、ロード速ぇ〜、そしてラクラク!
私のような貧脚素人でもロードバイクの速さ、楽さはよくわかります。舗装路だけ走るなら最高です。ブロンプトンで100kmサイクリングすると結構疲れますがロードなら余力があります。
違うジャンル同士でこういう諍いが発生してしまうのは自転車に限ったことではないのでしょうか。全部違うものなんだから全部楽しめばいいだけだと思うんですけどね。
私にとってのグラベルロードの魅力
私にとってのグラベルロードの魅力は、ロードとMTBの両方を持たなくてもいいというところです。
たとえば荒川サイクリングロードをロードバイクで走っているとしましょう。すると舗装がひっぺがされて工事中になっているセクションとかでは降りなければいけないし、ちょっと脇道にいい感じの非舗装路を見かけると「ああ、今度はMTBで来てあそこ走りたいな…」と思うことがあります。
それがグラベルロードだとパンクやタイヤのグリップのことをあまり気にせずに入っていけるんですよ。そんな感じで可能性が広がる。これはやっぱり便利で楽しい、いいものだな、と思います。
重いMTBでヒルクライムをする気持ちにはあまりなれませんが、グラベルロードなら舗装路でヒルクライム、そして脇道の林道へ…ということがやりやすくなります。
グラベルロードの人気は本物か
グラベルロードが単なるマーケティング用語だ、という意見もわからないではありません。ただ個人的にグラベルロードというのものは「製品群」ではなく一種の「遊び方の提案」であり、ロードバイクで非舗装路に好んで入るようになる人はグラベルロードバイカーになるのだと思います。その行為の自然な延長線上に、太いノブ付きのタイヤがあったりする。
北米の市場調査ではロードバイク・MTBの売り上げは伸びてはいないものの、かわりにグラベルロードとE-BIKEが市場を牽引しているという話はあります。ただヨーロッパではグラベルロードは北米ほどは伸びてはおらず、MTBのほうが元気、という話もよく耳にします。
日本でグラベルロードの需要はどこまで伸びるでしょうか。
同じ道を何度も繰り返し走る、というのも定点観測的な楽しみがあります。ここは相変わらずだな、ここは変わったな、といった発見の楽しみ。でも10年も荒川サイクリングロードばかり走っているとやっぱり飽きてくることがあります。他の道を走りたいな、と。
そういう時は遠くに輪行しに行ったりしますが、もっと手っ取り早いのは「身近な非舗装路を走る」ことではないか。そんなこともあって長年ロードバイクを楽しんできた人々がグラベルロードと呼ばれるタイプの自転車を発見しつつあるのだろうか、と考えたりもします。