SRAMがTIMEのペダル部門を買収したそうです。Bikerumor等海外メディアが伝えています。
出典 SRAM buys TIME, adds road & mountain bike pedals to their line-up with new acquisition – Bikerumor
ブランド名は維持・Quarqとの協業に注目
ソース元記事を要約すると次のような内容となっています。
- SRAMはロシニョールグループからTIMEを買収し、そのポートフォリオに加えた
- TIMEのペダルは今年後半、SRAMファミリーに公式に加わることになる
- TIMEは伝説的なブランドであり、ペダルストロークを通じてエルゴノミクスにフォーカスした最初のブランドだ。我々はTIMEの歴史と遺産を保持し、彼らのイノベーションと品質の遺産を受け継いでいく。とSRAM社長のKen Lousberg氏は語った
- この買収により、SRAMはフレーム以外の大部分のコンポーネントを提供できるようになる
- 興味深いのは、SRAMのカタログにはサドルがまだないことだ。どのサドルメーカーが飲み込まれることになろうだろうか?
- SRAMは過去数年にわたる戦略的な買収を通じて今日の巨大な企業となった
- 驚くことではないが、SRAMによるTIMEの買収はペダルに限定される(興味深いことにTIMEのシューズに関する知的財産権も買収に含まれてはいるが、当面TIMEシューズをどうするのかは定まっていないようだ)
- 昨年、TIMEのペダルとバイク部門はフランスのE-BIKEスタートアップWhaTTfornowに買収されていたが、SRAMは「ロードとMTBのペダルとクリートの全レンジ、それに関する全てのTIME Sportの特許をロシニョールグループから買収した」と語っている
- 2021年中頃から、SRAMは既存のTIMEペダルユーザー向けにスペアパーツとクリートを販売する業務を引き継ぐ
- 将来的にSRAMはTIMEペダルのブランド名を維持したまま、そのペダル製品をポートフォリオに組み込む予定だという
- TIMEペダルがSRAMの製品ファミリーとクロスオーバーする可能性はあるだろう。Quarqとの共同開発によるパワーメーターペダルがその最初のものになるだろうか?
TIMEは元記事中にあるようにWhaTTfornowに買収されたと言われていますが、SRAMがペダル部門についてロシニョールから買収したという発表を見ると、どうも最終的に契約がうまく行かなかったのではないかと想像してしまいますね。
いずれにしてもSRAMが買収したのはペダル(とシューズ)のみであり、車体には手を出さなかったようです。
SRAMはこれまでにAvidのディスクブレーキ、RockShoxのサスペンション、 Zippのホイールとコクピットまわり、 TruvativのMTBパーツ、Quarqのパワーメーターなどを買収を通じて手に入れています。ここにTIMEのペダルが加わるわけですが、残るのは本当にサドルくらいですね。
自社の製品ポートフォリオがこれだけ充実すると完成車市場でかなり有利になります。バイクブランドとSRAMコンポとの抱き合せを含めた契約を進めやすくなるでしょうし、その意味ではシマノにとって脅威ではないでしょうか。
海外の反応
ソース記事の読者の反応をいくつか紹介します。
- ある偉大なブランドの死だ。TIMEよ安らかに眠れ
- TIMEは最高のロードペダル・インターフェースを作った。TIMEの唯一の問題はベアリングとブッシングのデザインで、保守性がSPD-SLより少し劣るところだ
- これはATACペダルのファンにとっては本当にグレートなニュースだ!
- TIMEクオリティよ、安らかに眠れ。この買収は企業としてのSRAMを改善するだろうが、TIME製品の品質は確実に悪化するだろう。SRAMはTIMEを破滅させるだろう。私が間違っていると良いのだが
- TIMEにとって素晴らしいニュースだよ。ロシニョールはTIMEブランドをダメにしていたからね。フレームやペダルにほとんど投資してこなかった
SRAMによる買収を嘆く声、歓迎する声、両方聞かれますが、これまでに聞いた話ではロシニョールがTIMEブランドをないがしろにしてきたのは間違いないので、SRAMによってブランドの威光が復活することを期待したいところです。
勿論、SRAMは買収したPowerTapを最近になって製品ポートフォリオから外してしまいました。TIMEもそのような扱いを受けてしまうのでしょうか。
しかし上の記事で、SRAMの広報担当者が「(PowerTapブランドを終了するかわりに)今後は次世代パワーメーターテクノロジーのさらなる開発に集中することにした」とも語っており、PowerTap P2ペダルの後継製品のベースとしてTIMEのプラットフォームを採用する可能性もありそうです。
なお1年前の2020年3月に「TIMEの昨年の売上は約半分にまで減少、カーボンフレーム製造からの撤退も視野に」という記事を書きました。
同年6月には「ロシニョールがTIMEの全事業をフランスのE-BIKEスタートアップに売却」という記事を書きました。関連記事としてご興味のある方は是非どうぞ。