はじめに
この記事は「何らかの理由で体重を落としたいのだが落とせなくて苦労している・または減量に成功したことがない」方に向けて、私自身がどんな「食事法」に取り組むことで体重を落とせたか、についての「個人の経験則」を紹介することを目的としています。誰にも通用する普遍的な内容ではないかもしれませんが、部分的にでも何らかの参考になればという気持ちで書いたものです。
筆者は過去に半年間以内での約10kgの減量に2回成功しており(増量の理由は親しい人の不幸やコロナ期のステイホームなど)、5kg程度の減量であれば1〜2ヶ月以内にいつでも達成できる「自分にとって(減量面で)再現性のある食事法」を理解するようになりました。
この記事ではそれらの食事法について「よく効く・かなり効く・めちゃくちゃ効く」の順番で紹介していきます。
ただし、この記事はいま標準体重の方、現在のご自身の食事法で何ら問題なく健康(と体重)を保てている方は、読む必要がないと考えます。いまが健康で身体能力も高いと感じている場合は、現在の食事法は変えないほうがよい、と私は思います。
またこの記事は「体重を減らす」ことを主眼にしており「サイクリングでのパフォーマンスを上げる」ことは考察の対象外です(これを加味するとあまりに長大な記事になるからです)。また「体重を落とす・痩せる」ことは、競技のためではなく趣味として自転車に乗っている方にとっては、必ずしも必要でない場合もあると思います。
とにかく体重を落としたい。しかしたくさん自転車に乗っているのに全然落ちない。その場合は「食事法」を変えるしかない、と私は考えるようになりました。食事法を変えずにいくらハードに自転車に乗っても、現在の身体に多くの脂肪がある場合、体重は劇的には落ちません。しつこいようですが、私の場合はそうでした(この記事は以後全て「私の場合は」という内容です)。
ただしこれから紹介する食事法は、高強度サイクリングとの相性はよくない可能性はあります(のんびりロングライドであれば続けられる)。一時的にパフォーマンスは落ちるかもしれません。
パフォーマンスを維持しながら短期間でガッツリ痩せるのは、なかなか難しいことです。しかし目標体重まで落とした後、かつてのパフォーマンスを取り戻していくことは可能だとも思います。
ケトジェニック・ダイエット
私の場合、減量期・体重維持期の基本的な食事法は「ケトジェニック・ダイエット」です(以下「ケト」と略します)。
ケトの詳細はネットに山ほど情報があるので詳細には踏み込みませんが(バリエーションも多数ある)、基本は摂取カロリー内の「プロテイン:脂質:糖質(PFCバランス)」の割合がおおむね「3:6:1」になるよう調整するというものです。日常的な感覚に置き換えて言うなら「プロテインはほどほど、脂質はたっぷり、そして糖質は可能な限り少なくする」。
「脂質はたっぷり」。直観的には「それおかしいだろ」と思われるかもしれません。しかしこれがまさにケトの基本原理と関係があります。ケトは身体が利用するメインのエネルギー源を、糖質から脂質に変更していくシステムなのです。そして身体がエネルギー源として脂質を効率的に利用できるように変更されていく過程を「ケトーシスに入る」などと呼びます。
ケトジェニック・ダイエットを一度もやったことがない方なら、初回は「かなり雑なケト」でも効くと思います。たとえば唐揚げやフライドチキンは衣に糖質も少なくないのですが、主食の米や小麦粉(パスタ・パン)、でんぷん(じゃがいも等)を意識的に抜くことで大きい成果をあげられると思います。しかしこれは「初回ボーナス」で、やがて頭打ちになると思います。
そのためいずれは「プロテイン:脂質:糖質=3:6:1」、1食の糖質摂取量は20g以内、いや1日20g以内、と次第に「厳密なケト(ストリクト・ケト)」に近づいて行くと思います。
ケトの基本的な考え方については、読み物ならアトキンス・ダイエット(Wikipedia)、動画なら打首獄門同好会というバンドの「糖質制限ダイエットやってみた」という動画がおすすめです。
▼ 冗談みたいなミュージックビデオと思われるかもしれませんが、ケトの基本的な考え方・ケトに適した食材や、いずれ誰もがぶちあたる「地獄のプラトー期」までを3:39秒で理解できる素晴らしい内容。最後が「目標体重まであと2kg」で終わっているのもリアリティがすごい
2週間で3kg程度ならこれで全く問題なく落とせる、と私は感じています。これが最初に紹介しておきたい減量に「よく効く」食事法です(なお摂取カロリー総量についてはほとんど計算しなくても良いという、おもしろいメソッドでもあります)。
ヘルシー・ケト
しかし個人的におすすめしたいのは、もうちょっと踏みこんだ「ヘルシー・ケト」と呼ばれる考え方。これはケトをベースとしながらも、葉物野菜など低糖質で食物繊維とビタミン・ミネラルを豊富に含む食べ物(詳しくは後述)を、肉・大豆・卵・魚などのプロテイン、及び脂質と組み合わせるというものです(PFCバランス以外にも配慮する、ということです)。
「ヘルシー・ケト」では料理のバリエーション(後述)も増やせるため、長期間続けられるのはもちろん、肉食中心のケトでは不足しがちな食物繊維によって腸内細菌叢を育てることもでき(便秘も予防できる)、ミネラルによって身体からむくみを取る(=余計な水分を保持しない)効果もあります。同じケトでも、私にとってはこの「ヘルシー・ケト」がベストな方法論となりました。
インターミッテント・ファスティング
ヘルシー・ケトと同じくらい効く、あるいはもっと効くように感じられるのは「インターミッテント・ファスティング(以下「IF」と略。直訳すると「間欠的断食」)」です。
IFとは、一日のなかで「断食」している時間を長くする方法です。細かい方法論はこれまたネット上に山ほどあり、24時間中で何か食べて良いのは8時間だけ・6時間だけ、など様々です。食べていいのはお昼の12時から夕方4時まで、あるいは6時まで、など「食べてもいい時間帯」を決め、それを短くしていくというものです。
イスラム教の「ラマダン」は、実はこれに近い考え方です。
いちばん簡単なIFは「朝食を抜く」ことです。これは有名ですね。そして「朝ごはん食べなかったら頭が働かないじゃないか。力が入らないじゃないか」といった批判も多く寄せられるものです。しかし減量に限って言うなら、体脂肪が消費されるのは「食事をしていない時間帯、特にその終盤」だと私は思います。
食事をしていない時間は、長いほど良い(念のため繰り返しますが、これは減量が目的の場合です)。また、食事内容はヘルシー・ケトが望ましいとは思いますが(ケトと組み合わせると効果倍増)、IFは非ケト食の場合でも一定の効果はあると私は感じています。
ただし糖質の多い非ケト食の場合、食事と食事の間隔が長くなると血糖値変動が大きくなるため、すぐにお腹が空いたり、脂肪が期待していたほどは減らなかったり、不機嫌になったり集中力がなくなったりして、うまく行かないこともあると思います。個人的には、IFはケトに順応した身体に追加することで効果がさらに上がるプログラム、と感じています。
OMAD
私が減量面で「めちゃくちゃ効く」と感じている食事法は「OMAD」です。なんか難しそうな略語キター、と思われるかもしれませんが、単に”One meal a day”の頭文字を取った言葉で、要するに「1日1食」です。これは上で紹介したIFの進化版とも言えます。
IFの場合は、たとえば昼の12時から夕方4時まで、2〜3回に分けて食べても良い。しかしOMADでは、1日の食事は1回で済ませるのが違いです。間食は基本的に禁止。食事の時間は、別に30分でも1時間でも良いです。お腹いっぱいになるまで、よく噛んでゆっくりたっぷり食べます。
私が実践しているOMADでは、やはりケト食が基本です。なぜなら次の食事まで22〜23時間あるので、脂質が多い食事内容でないと、お腹が空いて持たないのです。また糖質が多い食事になると、血糖値変動のために次の食事まで待つのが苦しくなります。
ケトーシスに入っていない人は、いきなりOMADに挑戦しても挫折すると思います。しかしケトやIFで体重減少が頭打ちになった場合、OMADを試すと大きい効果が得られると思います。
OMADの隠れたメリット
さて、ちょっと余談です。OMADは「減量の最終兵器」ではないかと思うくらい私にとってはよく効くのですが、それ以外にも次のようなメリットも体感してきました。
- 免疫力が上がる(細菌性の歯痛がほとんど起こらなくなる・風邪をひきにくい。マクロファージが活性化するからではないかと私は考えています)
- 思考力・持久力が上がる(血糖値の振幅が少なくなるからではないかと推測しています)
- 気分変動が小さくなる(これも血糖値との関連が高いと思われる)
- 食費が減る(1日1食で良いものをたくさん食べてもあまりお金がかからない)
- 毎日が感謝祭になる(食材と、食べられることに感謝する気持ちが生まれる)
OMADのデメリット
一方でOMADには難しさ、デメリットもいくつか感じているので、等しく列挙しておきます。
- 慣れないとお腹が空いて困る・一日中食べ物のことばかり考えてしまう(これはケト→IFと適切にステップを経るならかなり克服できる)
- 社会性が大きく犠牲になる(会社の同僚や家族と一緒に食べられる機会が減る・おかしい人だと思われる)
- 胃もたれすることがある(膨満感。脂質の多い食事を中心にお腹いっぱい食べるため、苦しくなることがある)
- 脂質が多い場合、にきびをはじめとする脂漏性湿疹ができることがある(私は首筋にできてしまったことが何度かあった)
- 次の食事が近くなると身体が冷えてくる(特に指先など末端部。しかし、これは深いケトーシスに入れている兆候でもあると個人的には感じる)
- 睡眠障害(入眠が遅くなる。短時間で目が覚める)
私がOMADでいちばん困っているのは「胃もたれ」です。胃もたれが起きないくらいの脂質・量にすると空腹が発生する。かといってお腹が重いのは、胃腸の健康にはあまり良くないのではという直観的な不安も少しだけあります。これは個人的に大きい課題ですが、OMADを永久に続けるわけではないので、なんとかなっています。
また睡眠障害も若干気になるところです。私はOMAD中、かなりのショートスリーパーになります。しかし起きてからよく眠れていなくて頭がボーッとするとか、そういうことは不思議とありません。短時間でよく眠れているとしたらメリットなのかもしれませんが、一応デメリットとしてあげておきます。
身体が冷えるのも冬期は特にきついことがあります。これは身体が飢餓状態に入っていることを意味するので、デメリットではありますが、我慢するしかありません。ただしケトーシスに入っている期間が長い場合、どうしても我慢できない時は少しだけ糖質を採っても案外早くケトーシスに復帰できるとも感じています。
プラトーについて
ここまで「よく効く・かなり効く・めちゃくちゃ効く」と私が思った食事法について紹介してきましたが、ここでケトでもIFでもOMADでもいつかはぶちあたる「プラトー」について補足しておきたいと思います。
2kg・3kg・5kgと短期間で順調に体重が減っていっても、やがて「2〜3週間体重がまったく落ちない」期間がやってきます。グラフにすると平たい草原のようになるので「プラトー」と呼ばれます。私の場合だと、2週間はよくあります。1ヶ月、というのはないかな、と感じます(人によって違うと思います)。
この「地獄のプラトー」を克服する方法は「日々の数値に一喜一憂しない」ことです。身体には現状を維持しようとする「ホメオスタシス」と呼ばれる仕組みがあり、体重を含む身体環境をなるべく均一に保とうとするのです。
しかし「よし、お前(俺)の体重は当分このくらいな」という身体による「設定値」は、ある時ガクンと下がります。これまで順調に痩せてきたなら、2〜3週間体重変動がなかったとしても同じ食事法を続けていれば、ある日1.5〜2kg急激に落ちたりします。その時に減るのは、大体が水分です。逆に、1日で脂肪だけが500gや1kg増えることは、病気でない場合はまずありません。
体重の記録は毎日付けたほうが良いですが、減量がうまく行っているかどうかは、今日の数字を昨日の数字と比較するのではなく、1週間前・2週間前の数字と比較したほうがよくわかります。あるいは1ヶ月前・2ヶ月前の数字と比べてみましょう。途中にプラトーがあった時でも、長期スパンで見ると確実に体重が落ちてきているのがわかると思います。
もちろんケトははじめたけれどIFをまだやったことがないという方、OMADをやったことがないという方は、取り入れてみることでプラトーを短期間で打開できることもあると思います。
ケトとOMADの限界について
ケトやIF、OMADで順調に体重が減っていっても、ある時にプラトー以外の限界がやってきます。
それは「脂肪リザーブ」が尽きつつある時です。
ケトの基本的な仕組みは、エネルギー源として糖質を使うのではなく、脂肪を使うというものです。脂肪のエネルギー変換効率はケトーシスが深くなるにつれて、またケトーシス入りしている期間が長くなるにつれてどんどん良くなりますが、燃料となる脂肪が枯渇してくるとあらゆるパフォーマンスが落ちてきます。
身体にも頭にも力が入らない。無気力になった… という段階まで来ると、上で紹介してきたような食事法はいったん「止め時」です。
しかしそんな状態になる頃には、とっくに標準体重を割り込んでいると思います。
この後はどうするべきか。ここで「減量のための食事法」から「現在の体重を維持するための健康的な食事法」を考えていく必要が出てきます。
目標体重に達したらどうするか
5kgなり10kgなりの減量を果たし、目標体重になったらどうするか。運動量がいつもと同じだった場合、ここで「糖質5:脂質4:プロテイン1」のような食事にしてしまったら、あっというまにリバウンドしてしまいます。では、どんな食事にするべきか。
バランスの良い食事の意味
今度は脂質だけでなく糖質もエネルギー源として平等に利用できるような食事を考えていく必要が出てきます。ここで私は「和食というシステムの素晴らしさ」を再発見することになりました。
少量のごはんに、肉か豆腐といったタンパク質に加え、野菜もたっぷり入った「具だくさんみそ汁」。メインのおかずにもちろん魚や肉があっても良いですが、卵か納豆を添えたごはんと具だくさんみそ汁でも充分にPFCバランスが良いだけでなく、代謝を促進するミネラルやビタミンも得られます。この時に大いに参考になったのが料理研究家・土井康晴氏の「一汁一菜でよいという提案」でした。
しかし「野菜」については注意が必要だと思います。よく「野菜を食え」ということが言われますが、私の考えでは、それは「ミネラルやビタミンを採ることが大事」ということなのだと思います。同じ「野菜」と呼ばれるとしても、お米に加えてじゃがいもやさといも、かぼちゃなどの糖質の多い根菜類をたくさん食べてしまうと、やはり太ってきます。
「バランスの良い食事」を考える時、多種多様な食材を使うこと自体は良いとは思いますが、どんな野菜でもいいからたくさん食べる、ということをしてしまうと、糖質過多になりがちなのです(少量ならもちろん良い)。
これまた「私の場合」ですが、野菜は炭水化物・糖質のためではなく、ミネラル・ビタミン・食物繊維を摂取しながら味わうためのものです。
ヘルシーに痩せる・体重を維持するための食材
減量や体重維持の過程では、多くの方が「自炊」に辿りつくと思います。なぜならケトを基本とする場合、外食では食べられるものが限られてくるからです。
以下に、私が自炊でよく使っていて、健康的に減量するため・体重を維持するために有効だと感じてきた食材をいくつかあげてみます。
- 鶏もも肉・豚肉(ケトなら肉は脂質が多いものがやはり良い。牛肉も良いがコスパは悪い)
- 卵(1日に3〜4個食べても太らない。生でもいろんな料理にも使える)
- アボカド(脂質もビタミンもたっぷり。サラダに加えると腹持ちするのでOMADでは大活躍する)
- 納豆(脂質が多いため腹持ちする上に発酵食品なので腸内環境にも良い。ただ、個人的にはもたれる時も)
- アブラナ科のあらゆる野菜(サニーレタス・白菜・大根・水菜・ブロッコリーなど。どれもミネラルが豊富で、太らない。なお野菜全般について言えることですが、色が濃いものはベータカロテンが多くて良い)
- レモン(生のレモンを絞って炭酸水などに入れる。水分の排出効果があり、むくみが取れる。ビタミンCやクエン酸は大したことがないと言われているものの、抗酸化作用のあるポリフェノールは多い)
- きのこ類(しめじ・まいたけ・しいたけ等何でも可。直観的には水分で太りそうな印象を受けるものの、実は水分排出効果が非常に高いと感じる。ビタミンやカリウムなどのミネラル豊富)
- ピーマン(ナス科の野菜。糖質は少なくはないがビタミンが多い)
- トマト(これもナス科の野菜ですが、うまみ成分が強いので料理に大きい満足感を与えてくれる)
- ナッツ類(アーモンド・くるみ等。脂質と同時に抗酸化作用のあるミネラルを吸収できる。ただしカシューナッツなど糖質が多めのものもあるので、量の調整は必要。また無塩のものを選ぶ)
- 香辛料(ターメリック・胡椒・唐辛子等。ターメリックにはやはり抗炎症作用のあるミネラルが多く、黒胡椒と一緒に熱すると効果が倍増するという研究報告を読んだことがあり、以来この2つを多くの料理で使うようになった。唐辛子もビタミンと抗酸化作用あり)
- オリーブオイル(最も良質の油のひとつ。サラダのドレッシングにしても良いし、炒めものでも使える)
- 味噌(糖質はそこそこあるものの、食事に大きい満足感を与えてくれる。ケトで偏った腸内細菌を調整してくれる、気がしている)
- お酒を飲む場合はなるべく低糖質な蒸留酒系を選ぶ(焼酎・ウォッカ・ジン・ウィスキー等)
ケトやIF、OMAD中にどうしても飢えに耐えられなくなった時に便利なおやつもあげておきます。
- inバー(減量中は特にベイクドビター)
- サラミ(コンビニで手に入る。製品によって糖質量が違うので成分表を見て吟味する)
- カップヌードルPROシリーズ(IF時の1食、またはOMAD時の唯一の糖質源として使う)
加工食品については添加物による健康への影響も考える必要はあると思いますが、常食しないのであれば深く考える必要はないと思っています(私は)。
食材について最後に追加しておきたいのは、なるべくなら「新鮮で旬の食材」を使ったほうが良い、ということです。
旬であるということは、その食材の栄養が最も豊富であることを意味します。また葉物野菜についても、コンビニやスーパーで売っているカット済みのものは、どう考えても酸化が進んでいて栄養素の多くが失われていると思います。食物繊維摂取という意味では役立つかもしれませんが、せっかくなら新鮮な野菜を食べたほうが効果は高いと思います。
あと身体が何を必要としているかは、季節によって変わってくるとも感じます。身体の声に耳を傾けて、食材を選ぶのも大事なことだと思います。
また「ホールフード」にも注目すべきだと思います。米にしろ小麦にしろ、殻の部分に含まれている栄養素が大きい。野菜でも普通の料理なら捨ててしまうような茎の部分だったり、種の部分にビタミンが多いこともあります。「普通の料理だったらここは捨てる」という部分も、おいしく食べられないかどうか試してみると良いと思います。
どんな料理を作る?
私が減量中に実際にどんな料理を作って食べてきたか、いくつか実例を紹介します。
- 具だくさん味噌汁(先述。鶏肉・豚肉・豆腐などをプロテイン・脂質源とし、アブラナ科の葉物野菜でビタミン・ミネラルを採る)
- あらゆる鍋・煮込み料理(中華風火鍋・トマトベースのイタリアン・出汁ベースの和風鍋及び煮物・アクアパッツァなど)
- 炒めもの(肉野菜炒め・ベーコンエッグ・ゴーヤチャンプルー・麻婆豆腐など)
- インドカレー(小麦粉を使わず、10種類以上のスパイスを自分で調合して作る。具材は鶏肉・豚肉・ピーマンなど。しかしおいしく作るのはかなり難しく、まだ修行中)
- 焼きもの(牛ステーキ・豚肉のしょうが焼き・焼き魚・焼き鳥など)
- 蒸しもの(魚介など)
- サラダ(サニーレタス・トマト・ピーマン・わかめ・アボカド等。オリーブオイルに塩胡椒、または辛子明太子や釜揚げしらすなどで塩味をつけることも)
いちばん多いのは鍋系か具だくさん味噌汁が多いです。調理の手間が少なめで、かつOMADではたくさん食べられるのも良いところです。ケトではメニューのバリエーションが問題になってきますが、和風・中華風・イタリアン風・インド風と工夫すると様々な料理を作れ、満足できることがわかりました。
バルクアップについて
余談ですが「減量後のバルクアップ」についてもちょっとだけ触れておきます。10kgも痩せると身体がペラペラになってしまう、という方も少なくと思います。私もそうで、痩せすぎた時はハードな筋トレを再開し、運動後にプロテインやスイーツを採って一時的に身体を大きくしています。この時の食べ物としては脂質も多くて甘いチーズケーキなどをよく食べます。
この結果、筋肉量と同時に脂肪も増えてくるわけですが、そこでまた厳し目のケトやIF、OMADに移行する、というサイクルです。しかしこの糖質摂取期間は、私にとっては「身体に力は入る」ものの、虫歯をはじめとする炎症性疾患が再発することが多かったりします。これが個人的には悩みどころ(そうならない人もいると思います)。
体重が減ったらどんな良いことがあるか
減量によるサイクリングへのメリットについても少しだけ。10kgまでいかなくとも、5kgも痩せるとまず自転車での登りは断然ラクになります。500mlのペットボトル10本を身に付けているか、付けていないかくらいの違いですから、それはもう劇的なものです。
また、体重減少とは別の話ですがケト食が基本になっていると「ゆっくりロングライド」でもお腹がすきにくい、というのはあります。しっかりした朝食・昼食を食べずとも補給食だけで一日走れたりします。
ただし世間一般のサイクリストの大部分がケトをやっていないのには理由があると思います。運動強度の高いライド、爆発力を必要とするようなライドでは糖質をまめに補給しないと追いつかないからです。また、そもそも標準体重で脂肪のリザーブが少ないサイクリストの場合、ケトをやる意味はほとんどないとも言えると思います。
痩せるために運動は必要なの?
こと痩せる・体重を減らすことについては、私は食事法が9割だと感じています。サイクリングやその他の運動は、減量を加速させるためのブースターにはなると思います。
しかし、筋肉はキッチンで作られる、という言葉があるように、体重もほぼキッチンで作られる、何をどう食べるかに左右されるところが大きいと感じています。
最後に
この記事では私が実際に試してみて減量に効果があった食事法や、そのメリットやデメリット、自分で良いと思った食材や料理などについて書いてきました。
しかし最後に書いておきたいのは「食事法には万人に通用する唯一絶対の正解はない」ということです。
人によって腸内細菌叢は違いますし、消化能力も違います。たとえば私の場合は、納豆や卵は便利でおいしいのでよく食べるのですが、消化が追いついていないと感じる時もあるのです。また、時期によっても違ったりします。前回はアボカドがすごく効いた、と思っても、今回はなぜかうまく消化できない、ということもあるのです。
いちばん大切なのは、自分の身体で実験してみることです。食材を足したり引いたりして、それで身体の調子や体重変動を観察してみる。何が自分の身体に良いのかは、1〜2週間試してみなければわからないことが多いです(ただしおおむね体重が減り続けている、あるいは3週間程度のプラトーであれば、何も変えなくても良いことが私の場合は多かった)。
またこの記事で紹介したケトベースの食事法は、減量のためには非常に有効だと思いますが(健康的でもあると思う)、世の中には他にも実に様々な食事法があります。
肉だけを食べるカーニヴォア、魚介を中心に食べるペスカタリアン、でんぷんを中心とするスターチベース、生の果物だけを食べるフルータリアン、とにかく熱を通さない生のものだけを食べるローフード、ヴィーガン等々、どのアプローチでも健康的に減量できた、より健康になれた、という人がいます。また、一つの食事法に固執し続ける必要もないでしょう。
この記事で紹介した内容は、私が自分の身体で試してみて減量面で効果があったものではありますが、万人に通用するものでもないと思います(しかし実績のある、ある程度一般的なメソッドではあります)。もし参考になりそうな部分がありましたら、それを取り入れていただいて、あとは自分なりにカスタマイズしていく、というのをやってみられてはどうでしょうか。
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